黙々と糸を紡ぐ女性受刑者=12日午後、栃木市惣社町

 栃木刑務所(栃木市惣社町)は今年から、女性受刑者の刑務作業に本場結城紬(つむぎ)の工程の一つ「糸取り」(糸つむぎ)を取り入れている。伝統工芸を作業に生かすことで、受刑者の改善更生と社会復帰に役立てるとともに、地域貢献にもつなげたい考えで、技術を学んだ受刑者1人が糸を紡いでいる。

 本場結城紬は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されており、茨城県結城市と小山市、その周辺で生産されている。原料となる真綿から糸を紡ぐ「糸取り」は、担い手の高齢化や後継者不足が課題となっている。こうした中、栃木市は2年ほど前、近隣地域の伝統工芸の継承のためにも本場結城紬を作業に生かせないかと、同刑務所に提案したという。

 糸取りは、初犯の受刑者が作業する工場の一角で行われている。受刑者が専用の道具に横約40センチ、縦約15センチの真綿を絡ませ、指で細くねじりながら綿を引き出し、1本の糸にする。その工程を繰り返すが、指に負担がかかるため、作業は1日1時間ほどにしている。

 昨年12月から3カ月間は結城市在住の伝統工芸士から学び、現在は1人で作業を進める。完成した糸は結城紬を扱う業者に卸され、スカーフやネクタイなどに加工、販売されるという。

 12日には大川秀子(おおかわひでこ)市長が作業を視察した。同刑務所の岡本昌之(おかもとまさゆき)所長(58)は「とても根気がいる作業。やり遂げることで自信をつけ、再犯防止にもつながるだろう」と期待している。