登山中もコロナ対策を

梶谷博院長

登山中もコロナ対策を 梶谷博院長

 絶好の夏山シーズンとなったが、登山中の新型コロナウイルス対策が気になるところ。国際山岳医の資格を持ついちいクリニック(日光市)の梶谷博(かじたにひろし)院長に、コロナ禍での登山の注意点について聞いた。

 梶谷さんは日本登山医学会の山岳医制度の立ち上げに携わり、日本山岳ガイド協会認定の登山ガイドとしても活動している。長年山に親しんできた立場として、「登山する前に、自分がどのように新型コロナと向き合うかしっかり考えてほしい」と強調する。

 山でのけがや体調悪化で救助を要請した場合、処置中や搬送時に「3密」の状況が生まれてしまう。登山に行くと決めたらいつも以上に体調管理に努め、少しでも体調に不安がある場合は見送る。リスクを最小限にするためレベルの高い山に挑戦するのは避け、時間的にも体力的にも余裕を持って登れる山を選ぶ。

 不特定多数が乗車する電車やバスでの移動は感染の恐れがあるので、できる限り自家用車を使う。仲間と乗り合いで行く場合は車内が3密にならないよう換気し、マスクを着け定員より少ない人数で乗車する。

 登山中は呼吸が深くなり飛沫(ひまつ)も飛びやすいので、団体で行動する時は体力に不安がある人に配慮しながら3~4メートル以上離れて行動するのが望ましい。山でのあいさつはマナーであると同時に遭難などトラブル時の情報収集にも役立てられるので、なるべく広い所でいつも以上に道を譲り合い会釈する。

 登山中もぜひ持ち歩きたいのはマスクと消毒液。マスクを着用しても無理なく行動できる山を選ぶのが理想だが、熱がこもりやすく熱中症を引き起こす可能性も高まる。人けがない場所では外したり、スポーツ用のマスクを選んだりするなどの工夫を。休憩中はなるべくマスクを着用し、他の登山者と十分に距離を取る。一方で、マスクのごみは感染リスクがあり清掃登山でも回収できないため、うっかりマスクを落とさないように気を付けたい。

 トイレや鎖場など多くの人が利用する場所に触れた時は消毒用アルコールで消毒し、水道があればしっかり手を洗う。食品の洗浄などに使われる次亜塩素酸水は変質しやすく紫外線に弱いため、登山中の消毒液には向かない。

 感染予防の一環で、完全予約制で登山者を受け付けている山小屋や閉鎖している施設も多い。山小屋への宿泊を考えている人は事前に情報を収集し利用の可否を確認することはもちろん、宿泊中も山小屋のルールに従う。テント泊の場合でも、水道やトイレは密集しやすいので手洗いや消毒を徹底する。

 日本登山医学会では、医療従事者の視点から登山者や山小屋関係者向けの感染予防策に関する指針をまとめ、ホームページで公開しているので登山に行く前にチェックしよう。