「栄冠は君に輝く」を演奏する作新学院高吹奏楽部の生徒たち=10日午前10時15分、同校

 夏の甲子園大会が開幕するはずだった10日、全国各地で大会歌「栄冠は君に輝く」が響き渡った。宇都宮市宮の原中吹奏楽部顧問の星弘敏(ほしひろとし)教諭(61)の発案で始まった企画が全国に広まった。新型コロナウイルスの影響で日常が奪われた夏。参加者は、思い思いの願いをメロディーに託した。

 甲子園常連の作新学院高硬式野球部を支えてきた吹奏楽部90人は同校敷地内で、甲子園で着る予定だった黄色のポロシャツを着用して臨んだ。快活なメロディーと元気なダンス。オリジナルのロックバージョンなど、受け継いできた伝統の演奏を披露した。

 音楽性と応援に憧れ、神奈川県の実家を離れて同校に進学したフルートの3年長谷川咲千子(はせがわさちこ)さん(18)。コンクールも甲子園も中止になったが、「つらいのは自分たちだけじゃない。最後は甲子園のアルプススタンドではなかったけど、作新を選んでよかった」とはにかんだ。

 宮の原中吹奏楽部は野外演奏で野球部の3年生を送る会を盛り上げた。3年須藤逢(すどうあいる)部長(15)は「一生に一度の貴重な経験ができた」、星教諭は「一つになって物事に取り組む精神は素晴らしい」と力を込めた。

 宇都宮市在住のフリーアナウンサー福嶋真理子(ふくしままりこ)さん(45)は市内の公園で宇都宮北高吹奏楽部OB・OGバンドの仲間と演奏。「大人になっても『青春は続けられる』と伝えられたら」と話した。栃木市や茂木町でも企画に賛同した人たちによる合唱などが行われた。