梅雨が明けて本格的な夏山シーズンを迎えた。毎年のように発生する熱中症や転倒、滑落といった事故には十分注意する必要がある▼日本山岳会常務理事の萩原浩司(はぎわらひろし)さん(60)は日光市生まれで、高校、大学時代は山岳部に所属。卒業後、山と渓谷社に入社し、月刊誌「山と渓谷」などの編集長を歴任した山のプロフェッショナルである▼先月、「萩原編集長 危機一髪!」(ヤマケイ新書)を出版した。半世紀にわたる登山歴の中で直面した、山での危機的な出来事を雪崩や落雷、道迷いなどを18のテーマ別に集め、そこで得た教訓を示した▼国内第2位の高峰・北岳で岩雪崩を危うく回避したことなど興味深い話ばかり。事故防止の上で大いに参考になる。今年は新型コロナウイルスの感染拡大が、登山にも影を落としている▼富士山は開山せず、登山道は閉鎖されたまま。「3密」を避けられない山小屋は影響が顕著で、休業したり、予約を半数にして間仕切りを設けるなど苦慮している。大分県で予定された5回目の「山の日」記念全国大会は1年延期になった▼萩原さんは「狭い登山道で人とすれ違う際には声を出してのあいさつを控え、会釈で済ますなどの工夫が求められる」と訴える。きょう10日は「山の日」。感染防止に注意を払い、自然に親しんで山の恩恵に感謝したい。