例年のような帰省する車の渋滞が見られない東北道=8日午後3時10分、宇都宮市宝木本町

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、お盆休みを古里や行楽地で過ごす人たちの帰省が8日、始まった。連休初日のこの日、県内では高速道路が閑散とするなど、例年のような混雑は見られなかった。「帰省していいのか迷う」「感染して迷惑を掛けたくない」-。コロナ禍での帰省に、葛藤する本県出身者の姿があった。

 日本道路交通情報センターによると、午後6時現在、県内の東北自動車道や北関東自動車道で、目立った渋滞は発生しなかった。またJR東日本によると、東北・山形新幹線下りの自由席乗車率は午後4時現在、5~20%にとどまった。

 新型コロナの感染が各地で再び広まる中、政府はお盆期間の帰省自粛を求めない方針を示している。福田富一(ふくだとみかず)知事も帰省に関して体調などに十分配慮することを呼び掛けたが、県境をまたぐ移動自粛の要請は出していない。

 「本来は広域的な移動については国が判断すべきで、いまの状況は無責任だ」。東京都内へ通勤する茨城県つくば市二の宮2丁目、会社員保倉路子(ほくらみちこ)さん(50)は納得がいかない様子。

 宇都宮市出身の保倉さん。実家には1人暮らしをする88歳の母がいる。「母が心配なので帰りたい。けれど都内に通勤している自分が、知らずに感染していてうつしたらどうしよう」と戸惑っていた。

 新潟市西区、大学院2年片嶋夏菜(かたしまかな)さん(24)=宇都宮市出身=はお盆の帰省を見送った。修士論文の提出に向けて、毎日大学で研究しているといい「帰省をきっかけに大学で誰かにうつしてしまったら、卒業をかけて実験している人たちに申し訳ない」と心境を明かした。

 長期休みは必ず帰省するという片嶋さんだが、今年は正月に帰ったきり。「いつになったら実家に行けるのか」と気をもんでいる。

 神奈川県藤沢市、大学4年男子生徒(22)=同=は当初は帰省する予定で、アルバイトの休みも取っていた。だが、最近の感染者の増加を受けて「今栃木に帰ったら、家族や友達に迷惑を掛けてしまうかもしれない」と揺らいでいた。