本格的な夏山シーズンを迎え、県内でも多くの愛好家が登山を楽しんでいる。しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で登山道にマスクのごみが増えたほか、山岳救助隊などの活動が制約されているという。コロナ禍でも安全・安心な登山を楽しむため、例年以上に愛好家のマナー順守が必要になりそうだ。10日は「山の日」。

 那須山岳救助隊の高山昭彦(たかやまあきひこ)副隊長(60)によると、夏休みに入ってから那須町湯本の峠の茶屋駐車場では平日でも満車状態が続いており、「富士山や南アルプスなどで入山規制が続く影響か、登山者が例年より2~3割増えている」と驚く。

 国の緊急事態宣言を受けて、山岳関連団体や自治体は大型連休前後の登山自粛を国民に要請した。那須岳周辺では自粛期間中は登山客が9割以上減ったが、宣言が解除されてからは例年より増えているという。

 新型コロナによって、救助活動にも変化が。傷病者を背負っての下山や介抱は濃厚接触に当たるため、警察や消防の救助が来るまで付き添うことしかできない。また登山道にはマスクのごみが増加。感染の恐れがあり回収できないため、「山でごみを出さない、ごみは持ち帰るといった基本を守って」と訴えた。

 県山岳・スポーツクライミング連盟の北村誠一(きたむらせいいち)副理事長(53)は県内では登山客で混み合う状況は起こりにくいとし、「登山中の感染リスクは決して高くない。こまめに情報を確認し、実力に見合った登山を楽しんでほしい」と話す。

 ただ新型コロナに感染していた場合、移動中の車内やコンビニ、ガソリンスタンドなど立ち寄り先で感染が広がる可能性がある。北村副理事長は「体調が優れないときは山に行かないなど、今こそ登山で培ったリスクマネジメントが生かされるべきだ」と強調した。

 国際山岳医の資格を持つ日光市七里のいちいクリニックの梶谷博(かじたにひろし)院長(63)は、団体で登るときや山道ですれ違う場面は2メートル以上離れる、岩場や水道に触れたときは手指を消毒する-といった普段通りのコロナ対策を行うよう求める。

 自然と触れ合うことは健康維持に有効だが、「山は決して逃げない。新型コロナとどう向き合うか考え、最大限の備えをして臨んでほしい」と呼び掛けた。