【那須】新型コロナウイルス感染拡大で中止になった県中学校総合体育大会(中学総体)の替わりとして、那須中央、那須両中ソフトボール部3年生の引退試合が1日、町中央運動公園で行われた。保護者らが見守る中、昨秋の県大会で準優勝と3位に輝いた好敵手同士の熱戦は、吹奏楽部の演奏が花を添えるなど公式戦以上の雰囲気に包まれた。涙の後、「本気の試合を最後にできた」と笑顔になった選手たち。本来望んだ結末とは違っても、忘れられない特別な夏になった。
町内の中学校は両校のみで、ともに県大会優勝を狙える実力のあるライバル同士。両校で最後の試合として対戦することを企画し、選手たちは中学総体の中止から気持ちを切り替えて練習に励んできた。
試合が始まり、回を追うごとに集中力が増す。ヘッドスライディングも飛び出す熱い戦いを繰り広げた。
2試合戦った結果は1勝1敗。那須中央中で4番を担った大金千夏(おおがねちなつ)さん(15)は「チャンスの打席ではとても緊張した」と本気の戦いを振り返り「ずっとこのまま試合が続いたらいいのに、と思っていた」。那須中の主将・奥泉寿音(おくいずみことね)さん(14)は「総体に出場出来ない悔しさはあるが、いいゲームで終えられて良かった」と笑顔で涙を拭いた。
那須中央中吹奏楽部もグラウンドに駆けつけた。文化祭を例年通りに開催できない可能性が高く、3年生にとっては最後の舞台となる公算が大きいという。
部長の粂彩香(くめあやか)さん(14)は「ソフトボール部のプレーに自分たちの姿を重ねながら見ていた」と話す。途中から対戦相手の攻撃時にも応援演奏を行った。「両方とも応援したい気持ちになった。精いっぱい演奏できました」と話していた。