アパートの外壁に描かれた傘を持つネズミの絵

 まさか、あのバンクシー?-。昨年1月に東京都の小池百合子(こいけゆりこ)知事の会員制交流サイト(SNS)で有名になった「バンクシーらしきネズミの絵」と同様の落書きが宇都宮市砥上町で見つかり、「世界的な覆面路上アーティストの作品がこんなところに」と話題になっている。

 同所、無職長谷川健二(はせがわけんじ)さん(77)は5月末、空き家が取り壊され目に入るようになった近所のアパート外壁に、黒っぽい落書きがあるのに気付いた。当初は壁の汚れで目立たなかったが、長引く梅雨で汚れが洗い流されると、トランクを持ち傘を差すネズミがくっきり見えるように。

 「バンクシーらしき絵」は世界中で発見されており、「もしかしたら東京と同じ頃に描かれたのかも」と、長谷川さんは県立美術館に“鑑定”を依頼。シルバー大学校の友人らが写真を撮ったり、近所の人が喜んだりしているという。

 ただ、世界を飛び回る芸術家が、地方都市の団地の一角に東京と同様の作品を残す可能性は限りなく低く、同館の杉村浩哉(すぎむらひろや)主任研究員の“鑑定”は、「アート心のある誰かがまねたものでしょう」。

 ロンドンの競売では、落札直後に作品を自動細断する騒動を起こしたバンクシー。自身を巡る一連の騒ぎこそがバンクシーの作品という見方もあり、「落書きはいけないことだけど、何となく夢があって明るい気持ちになれた」(長谷川さん)なら、真贋(しんがん)の判定はあまり関係ないのかもしれない。