じょりんぼの店先に立つ星野さん

新型コロナ退散の願いを込めた「鍾馗さま弁当」

じょりんぼの店先に立つ星野さん 新型コロナ退散の願いを込めた「鍾馗さま弁当」

 栃木市富士見町の喫茶店「じょりんぼ」がこの夏、店内での営業を終了した。新型コロナウイルスの影響を受け、感染症対策をしながら営業するのは難しいと判断した。店主星野解子(ほしのときこ)さん(74)の父で市出身の版画家鈴木賢二(すずきけんじ)(1906~87年)らのギャラリーを併設するなど、文化芸術の発信基地として40年以上地域に愛された。今後は弁当の仕出しのみを続けるという。

 栃木駅近くにある1979年開店の喫茶店。感染症の拡大に伴い4~5月、営業を休んでいた。

 6月に再開したが、8席ほどの店内は3、4人が入店すると密集した空間になってしまう。冷房を付けると換気もままならない。悩んだ末、星野さんは「安心して開店できないのであれば致し方ない」と決断し、6月末で営業を終えた。

 店の隣には父・賢二と、兄で彫刻家の故徹(てつ)さんのアートギャラリーがあり、展示会などをたびたび開いていた。星野さん自身も長年、演劇活動などに携わり、かつては文化芸術団体の関係者らが憩いの場として訪れ、にぎわったという。

 今後は手作り弁当の仕出しに一本化する。メニューには市独自のおもてなしグルメ「とちぎ江戸料理」になっている弁当や、賢二の木版画「鍾馗(しょうき)さま」にちなんだ弁当もある。鍾馗は疫病を退治したという言い伝えがあることから、「鍾馗さま弁当」には栄養価の高い食材を多く盛り込み、新型コロナ退散の願いも込めている。

 喫茶店としての営業終了を聞きつけたなじみ客らからは、惜しむ声が多く届いたという。星野さんは「長い間お客さまと一緒に過ごせた。寂しいけれど、これからも(お弁当で)多くの人に喜んでもらいたい」と笑顔で語った。