盛り付けする船生さん

季節の食材を使った「八寸」

船生宜之さん

盛り付けする船生さん 季節の食材を使った「八寸」 船生宜之さん

 東京スカイツリーにほど近い本所吾妻橋。三ツ目通りから一本入ると、小さな看板と白いちょうちんが目に入る。店内はカウンターとテーブル合わせて13席。こぢんまりとした品のいい店を、日光市(旧今市)出身の船生宜之(ふにゅうよしゆき)さん(46)が1人で切り盛りする。

 コースで出される前菜の「八寸」が名物。7千円のコースだと13種類も盛られて供される。「旬の山海の食材を使い、季節で料理を変えています」。春ならホタルイカの酢味噌(すみそ)がけや桜鯛(さくらだい)の卵の生姜(しょうが)煮、今の時季は鮎(あゆ)の山椒(さんしょ)煮などだ。

 人気のだし巻き卵を挟んだサンドイッチも添えられている。卵とパンが絶妙のハーモニーを奏で、こしょうをきかせた大人の味が酒のさかなにぴったり。コースは、おわんやお造り、焼き物、季節の炊き込みご飯などボリューム満点だ。

 野菜や牛肉、豚肉などの食材や地酒は栃木産を積極的に使う。「料理はバランスが大切。全体を見渡して、料理や味付けを考える。お客さんに満足してもらうことが全てです」

 高校卒業後、都内の専門学校で料理を学び、老舗料亭「なだ万」などで修業を積んだ。東日本大震災をきっかけに、「どん底から始めれば上がるしかない」と自分の店を持った。今は新型コロナウイルスに苦しめられている。席の半分しかお客さんを入れられないが、「ゆとりを持って仕事ができると、良い方に考えてやってます」。

 メモ 墨田区東駒形3の5の6千葉ビル1F。電話03・6312・7055。午後6~11時。日祝休。

■店主の思い

 こうなる前は、両親の様子を見に2カ月に1回程度帰ってました。近いうち久しぶりに帰ろうかと思っています。育ったところなので、店を出すとか地元に貢献したいと考えることもありますね。