ソーシャルディスタンスを保った待合室でこまめにいすを消毒する職員=那須烏山市田野倉

 県内市町で再開の動きが広がるがん検診などの集団健診。新型コロナウイルス感染症への不安を払拭(ふっしょく)するため、市町や企業、学校などの委託を受けて県内を巡回する県保健衛生事業団は、160項目に及ぶ感染防止策を講じている。問診でのパーティション設置、密集対策で時間帯を分けた受け付け対応、消毒の徹底…。同事業団は「コロナだからといってがんの進行は待ってくれない」と危惧し、感染防止の徹底に努めている。

 「間隔を空けてお並びください」。那須烏山市保健福祉センター玄関前。市職員と事業団スタッフが、健康確認と受け付けを終えた受診者を、いすの間隔を空けた待合室へ次々と案内した。

 事業団は本年度、県内25市町のうち17市町の集団健診を受託。しかし新型コロナの影響で、4~6月に220回の健診が中止となった。約3万人が受診するはずだったという。

 受診の機会を失えば、早期に発見されたはずのがんが進行するリスクもある。事業団の永井充洋(ながいみつひろ)集団健診部長(53)は「受診できなかった方の受け皿の確保と安心して受診できる環境の整備が急務」として市町と代替日を調整し、感染対策を検討してきた。

 160項目の感染対策は、胸部X線、身体計測、採血などあらゆる場面を想定。受け付けの開始前に受診者が殺到するケースが多く、受付時間は30分ごとに区切って分散して来場を求めるなど工夫した。

 胃がんなどの検診車は手すりや車内、聴力検査はヘッドホンや応答ボタンなど受診者ごとに消毒を徹底する。尿検査は多くの市町で公共トイレを使わず、自宅からの事前採取を求める。

 6月から集団健診を再開した那須烏山市。同市の水上和明(みずかみかずあき)健康福祉課長(54)は「ソーシャルディスタンスを保った受け付けや密を避けた待合室など住民からも好評」と受け止める。

 永井部長は「感染を心配する方の受診控えも想定されるが、万全の感染対策を講じていく。受診の機会を逃さないでほしい」と訴えている。