ホテル入り口に消毒を設置するなど感染防止策を徹底するホテル「日光千姫物語」=17日午後、日光市

 新型コロナウイルスの影響で低迷した観光業を支援するキャンペーン「Go To トラベル」の開始を22日に控え、栃木県内の観光関係者は17日、期待の中に懸念が交じる複雑な心境を口にした。新規感染者が再拡大している東京都の発着が除外されたものの、感染拡大の不安は依然続く。迷いながらも「感染対策を徹底していくしかない」と気持ちを新たにし、キャンペーンを迎える。

 「東京の除外は仕方ないが、営業自粛で大きな打撃を受けた側からすれば、キャンペーン自体は歓迎」。那須塩原市塩原の旅館「湯守田中屋」の田中三郎(たなかさぶろう)社長(61)は前向きに受け止める。

 市の宿泊支援事業や新たに始まった県の「県民一家族一旅行推進事業」で、上向きの兆しが見えてきたばかり。もともと7割が首都圏からの客だったため、「Go To」にも期待を寄せている。「不安も分かるが、コロナはすぐにゼロにはならない。旅行者側、旅館側双方で信頼関係と責任を持って、感染対策を徹底しながら進んでいきたい」と強調する。

 日光市安川町のホテル「日光千姫物語」では東京の除外を受け、予約をキャンセルする動きが出ているという。経営する「春茂登ホテルグループ」の根本芳彦(ねもとよしひこ)社長(62)は「従業員の健康や感染拡大防止を考えると、やむを得ない」と諦める。ただし、「キャンペーンを長く続けてもらいたい。旅行機運が長く維持されるよう、焦らずに取り組んでほしい」と注文を付けた。

 観光施設も複雑だ。鬼怒川温泉大原のテーマパーク「東武ワールドスクウェア」の大塚愛子(おおつかあいこ)広報課長は「キャンペーンで首都圏から多くのお客さまを見込んでいたのは確か。(東京除外で)近県の方も旅行を控える雰囲気になってしまうのではないか」と心配し、「もう一度感染対策に気を引き締め直す」とした。

 過剰な対応を心配する声も。日本遺産に認定された益子焼の製造販売を手掛ける「つかもと」(益子町)の合群信哉(あいぐんのぶや)取締役(60)は「にぎわいにつながってほしい期待もあるが、首都圏ナンバーの車を敬遠するような動きはあってほしくない」と話す。

 那須町の担当者も「町民から(首都圏からの移動に)不安の声が寄せられているのは確かだが、観光で恩恵を受けている町として、閉ざすのではなく、これまで以上の対策に努力する方向にしたい」としている。