創業120周年を迎えた「サイクルショップサカイ」の4代目清治さん

 国内でも最古参の自転車店の一つとされる栃木県足利市永楽町の「サイクルショップサカイ」が、今年で創業120周年を迎えた。他の業種と同様、自転車店も大型店化が進み、ネットによる通信販売も増えてきているが、個人店ならではの強みを生かした対面販売や出張修理サービスに力を注ぎ、同店は「今まで通り、地域に愛される店に」と決意を新たにしている。

 1900年創業。同店によると、初代の酒井次郎吉(さかいじろきち)氏は三輪車などの発明を手がけ、創業当時は輸入自転車の修理販売をしていた。自転車に関する書籍や資料などを所蔵している「自転車文化センター」(東京)の谷田貝一男(やたがいかずお)学芸員は「120年も続いている自転車店は全国的にも極めてまれ」と話す。

 戦前、戦中の苦しい時代も切り抜け、75年には現在の4代目酒井清治(せいじ)さん(71)が代表に。自転車販売のほか駐輪場運営などの関連事業、わたらせ渓谷鉄道や上毛電気鉄道と協力したサイクルイベントを開き、自転車ファンの増加に貢献してきた。今月19日にも毎月開いているツーリングイベントを予定している。

 ただ、自転車店は近年、ショッピングモールなどへの併設や大型店化が進み、個人店は減少。清治さんによると、足利市内でも80年代には100軒以上あったが、今では「実働の店舗は1桁」というほど減っている。通販も増えてきているが、清治さんは「乗る人それぞれの体格や使い方などに合わせた一台の提案のため、対面販売は大切」とこだわる。

 120周年を機に、同店の強みを生かした小回りの利く出張修理や、家庭で眠っている自転車の再生サービスなどにも力を入れる考えだ。近く代表を引き継ぎ、5代目になる長男の厚(あつし)さん(38)も「これまでと同様、お客さんに寄り添った経営を続けたい」と話している。