台風19号による被害や避難行動の実態をまとめた報告書を持つ山口さん

 宇都宮市内のボランティア団体などでつくる「うつのみや暮らし復興支援センター」は、「台風19号 田川流域の避難行動・生活復興調査報告書」を作成、インターネットで公開している。昨年の台風19号で被災した市民へのアンケートを基に、浸水が始まった時間帯や避難の仕方、生活再建に向けた支出額などをまとめた。

 台風19号では、田川・姿川流域で900軒以上の浸水被害があった。同センターは「被災者の記憶を社会の記録として残す」ため、今年3月に調査。田川沿いで被害が集中した東・錦地区1242世帯に自治会を通してアンケートを配布し、448世帯から回答を得た。回答率36.1%。

 被害状況の項目では、浸水地点を1カ所ずつ示した地図を載せたほか、浸水の開始時間を推定。川に近い千波町では午後7時台に始まり、午後8時台から田川両岸の地域に広がったと分析した。

 避難行動をみると、自宅で垂直避難したのが308世帯と約7割。うち「河川の溢水(いっすい)想定なし」の回答が半数以上だった。指定避難所までの距離が1キロ以上の世帯からは、避難の難しさを訴える意見もあった。

 自宅外に出た住民の避難開始時間は「午後8~10時」が最多。当時の雨量や浸水状況から、「避難には二次災害の危険性があった」とした。

 被災後の生活再建に向けた自己負担額は、床上浸水した94世帯では、「100~200万円未満」が32世帯、「200~500万円未満」が29世帯と多かった。主な使途は、家屋修理や自動車、家財の買い替え。

 センター代表の山口真由美(やまぐちまゆみ)さん(46)は「どう動いたか、被災してどうなったか実態が浮かび上がった。記録に残すだけでなく、次の災害に生かさないといけない」と話した。

 報告書は、とちぎボランティアネットワークのホームページで公開。今後、一般閲覧用の本編、概要版の冊子を計500部作るという。