大塚さんが語った空襲体験談に、集まった人たちは真剣な表情で聞き入った

動画投稿サイトに読み聞かせが公開された紙芝居「火の海になった宇都宮」の一場面

大塚さんが語った空襲体験談に、集まった人たちは真剣な表情で聞き入った 動画投稿サイトに読み聞かせが公開された紙芝居「火の海になった宇都宮」の一場面

 【宇都宮】1945年7月12日の宇都宮空襲から75年。戦火の記憶を語り継ごうと、市民団体「ピースうつのみや」は12日、宇都宮駅西口付近のイベント広場で空襲犠牲者を追悼する催しを開いた。19歳の時に空襲を体験した西川田3丁目、大塚房子(おおつかふさこ)さん(94)が炎の中を逃げ惑った当時の様子を振り返り、平和の尊さを訴えた。また同団体は同日までに、宇都宮空襲を描いた紙芝居の読み聞かせを動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。

 同団体は例年、空襲で亡くなった620人以上の人々を追悼するため田川で灯籠流しを行ってきた。今年は、新型コロナウイルスの影響などで中止した。

 「目の前にたくさんの焼夷(しょうい)弾が落ちた。川の両側に人がいっぱい倒れていて、目を開けて歩けなかった」と、市内の惨状を語った大塚さん。最後にゆっくりと立ち上がると、「戦争は怖いもの。二度とあってはならない。いかに平和が大切か身に染みて感じている」と声を振り絞り、訴えた。

 家族で参加した市在住の大橋智江(おおはしともえ)さん(38)は「私たちの世代に記憶をつなぐ役目が与えられている。貴重な体験談を自分の中に刻んで、自分の言葉で子どもたちに伝えていきたい」と話した。

 一方、紙芝居は「火の海になった宇都宮」という題で、22年前に制作された。読み聞かせの動画は、子どもたちに戦争の悲惨さと平和の尊さを伝える教材として活用が期待される。

 メンバーの高齢化が進む中、同団体の田中一紀(たなかかずのり)代表(78)は「記憶を継承するため、できる限りのことはしていきたいが、若い世代の協力なしには続けられない」と、活動への関心と協力を広く呼び掛けた。