中学生が折った鶴に糸を通して千羽鶴を作る栃木市の職員=6日午前、栃木市役所

 「原爆の日」の8月6日に広島市で営まれる「平和記念式典」を巡り、栃木県内11市町が本年度、式典への中学生派遣事業を中止したことが、10日までに分かった。新型コロナウイルスの感染防止対策のため。11市町は昨年度、計約180人の中学生を派遣していた。今年は戦後75年、被爆75年の節目の年。「平和への思いが途切れないように」との考えから、郵送での千羽鶴の奉納の準備や、代替策の平和学習を行う自治体もある。

 広島市によると、今年の平和記念式典は規模を縮小する。本県など全国各地から派遣された中学生らが座る「自治体席」は設けないという。

 県内の自治体は本年度、宇都宮、栃木、鹿沼、日光、小山、さくら、那須烏山、下野、壬生、野木、那須の11市町が派遣事業を中止した。自治体席がないことや移動時の感染リスクなどを踏まえた。他の市町はもともと実施予定がなかった。

 派遣事業はほとんどが2泊3日の日程。式典への参列や広島平和記念資料館の見学などを通して、戦争や核兵器の恐ろしさ、平和の尊さを学ぶ機会となっている。19年度に県内で最も多い34人を派遣した日光市の担当者は「中止は残念ではあるが式典も縮小ということで仕方ない」と話した。

 栃木市は毎年、生徒たちが平和記念公園内の「原爆の子の像」に千羽鶴を奉納している。今年は「気持ちを途切れさせたくない」として、千羽鶴を広島に郵送することにした。市総務課の職員が先週から、中学生の折った鶴一つ一つに糸を通し千羽鶴の形に仕上げている。平和への願いを込めて5束作り、8月6日までに送付する予定という。

 中止に伴い代替策を行う市町もある。小山市や野木町は広島平和記念資料館の平和学習に関する資料を中学2年生らへ配布。下野市も各中学校に原爆の被害などを学ぶワークブックを配布した。宇都宮市は戦争体験者の講演をまとめたDVDを、今月中に市内の小中学校へ配布する予定という。