東京都内で1日当たり過去最多となる224人の新型コロナウイルス新規感染が明らかになった9日、都内に通勤する県内在住者は「人出も戻っているので増えるのは仕方ない」と冷静に受け止めた。県内の観光関係者からは、戻り掛けた客足への「冷や水」にため息が漏れる。東京に行く側、東京から迎える側ともに、諦め感が漂った。

 「感染者が増えても驚きはない。自分の身は自分で守るというだけですね」

 小山駅から新幹線で都内に通う小山市城東3丁目、会社員男性(37)は淡々と語る。4、5月は朝の新幹線の一つの乗車口に1、2人だけだったが、今は15人ほどが並ぶ。都内の人出もかなり戻ったと感じる。

 男性は「以前のようにおびえて縮こまるより、コロナとうまく付き合いながら、社会をまわす方向に切り替えるしかないのでは」と話す。

 東武鉄道で都内に通勤する栃木市藤岡町、公務員男性(40)も「家族や友人から心配されるが、栃木にウイルスを持ち込まないよう自分が気を付けるしかない。都内で増えるのは仕方ない」と落ち着いて受け止める。

 那須町大島の「那須どうぶつ王国」は現在、来園者の2、3割が東京都や埼玉県から訪れているという。 4月に生まれた世界最小級の野生ネコ「スナネコ」の一般公開が6月中旬に始まり、来園者数は「非常に伸びている」と担当者。それだけに「また(客足が減ったころに)戻ってしまうのではないか」と不安をのぞかせた。

 「少しずつお客さまが戻ってきていた。また足踏みです」。鬼怒川・川治温泉旅館協同組合の庄田哲康(しょうだてつやす)理事長(50)は声を落とす。

 県境をまたぐ移動の自粛が6月に全面解除されるなどし、状況は好転しつつあった。しかし、都内の1日の感染者数が100人を超えたころから予約のキャンセルが目立ち始めた。庄田理事長は「夏休みの旅行を見合わせる人も出てくるのでは。これ以上東京近郊の感染者が増えないよう願うしかない」とため息をついた。