同居する家族の遺体を自宅に放置する死体遺棄事件が県内で相次いでいる。5月に益子町や小山市で発覚。3日には佐野市で父親(79)の遺体を放置した疑いで息子(49)が逮捕され、ここ1カ月間だけで3件に上った。死後1年以上と推定される遺体もあったが、地域や周囲は異変に気付かなかった。「各家庭にどこまで関われるのか」。福祉関係者は、気付きの難しさを吐露する。事件の要因はそれぞれとみられるが、識者は地域からの家族の孤立が背景にあるとみている。

 佐野市の事件では自宅から2人の遺体が見つかった。1人は死後1年以上と推定。事件は容疑者の自首で発覚した。

 周囲は異変に気付くことができなかったのか。

 「この辺も人付き合いが希薄になった。広報紙などを渡す時も手渡しではなく、ポストに入れるだけになっている」。近所の60代男性は、最近は容疑者を見掛ける程度だったという。

 同市では提携事業所などが郵便受けに新聞がたまっているなどの異変に気付いた際、市などに連絡する見守りネットワークがある。ただ今回は関連情報の提供はなかったとみられる。

 「情報があれば確認に向かえるが、全てを把握するのは難しい」と同市。近所付き合いの希薄さなどから「地域の見守りも難しくなっている」と打ち明ける。

 県民生委員児童委員協議会の荷見晃(はすみこう)事務局長は「高齢者の独居世帯には民生委員が訪問するが…」などと話す。「干渉を嫌う人もおり、家庭にどこまで関われるのか、難しいケースは多い」と明かした。

 同市のほか、県内では小山市で5月末、父親(69)の遺体を自宅に放置した疑いで長男(42)が逮捕され、「死亡した事実を受け入れるのが怖くて放置した」と供述。同月、益子町でも事件が発覚した。

 筑波大の土井隆義(どいたかよし)教授(犯罪社会学)は「家族が地域から孤立するケースが増えている。関係が閉じていると相談相手がいない状況になる」と指摘。程よい距離で声を掛け合うなどの「弱いつながり」を作る必要があると強調している。