重厚なたたずまいの生沼家住宅

 【上三川】町は上三川の国有形文化財「生沼家住宅」の利活用法の検討を進め、公開に向けて室内や庭の整備を進めている。重厚な外観だけでなく、内部も江戸時代から続いた豪商の住まいにふさわしい伝統的な高い技術を駆使して作られている。今秋にも予定する一般公開を前に紙上で紹介する。

Web写真館に別カットの写真

 ■店舗

 1階の店舗は、大黒柱からはり、神棚に至るまでけやき材が使われている。大黒柱の径は32センチ、はりの幅は54センチもある。町生涯学習課の課長補佐で学芸員の深谷昇(ふかやのぼる)さんは「今では、これだけの見事な材料をそろえることはできないでしょう」と説明する。

 帳場奥の金庫や大坂格子なども豪商の威厳を感じさせ、そのまま映画のロケに使えそうだ。

 ■大広間

 床の間や書院の壁には黒しっくいが使われている。歴史的な建物だが、どこかモダンな感じも受ける。当時の一般の民家には見られないもので、生沼家住宅の特色の一つだという。天井の高さも約3メートルあり、床の間の違い棚や欄間も凝った造りをしている。

 ■蔵

 厚さ30センチを超える巨大な鉄製の扉に驚かされる。重要な文書や金品などをしまっておくのにふさわしい堅固な造りだ。2階の天井裏には、「大工棟梁(とうりょう)鯨歳光(くじらとしみつ)」の名前と蔵を火事から守る火よけの歌が記されている。棟梁は、地元の人だと分かっているという。

 メモ 生沼家住宅 主屋である木造2階建ての店舗付き住宅と2階建ての土蔵が2006年、国有形文化財に登録。18年に亡くなった20代当主、生沼孝朗(おいぬまたかお)さんの遺族が町に寄贈した。主屋は1914年、蔵は20年に改築した記録が残っている。