フェースシールドや防護服代わりの雨がっぱを着用する伊藤さん=6月下旬、宇都宮市内

 新型コロナウイルスの感染拡大が、在宅療養を支える訪問介護や訪問看護の現場にも大きな影響を与えている。事業所の備蓄が乏しく、一時期はマスクなどの物資不足が深刻化。事前の面会がかなわず、利用者の状態把握に苦心することもあった。今後は、感染防止と暑さ対策の両立に懸念の声が上がる。いかに安全な訪問を継続するか。現場の模索が続いている。

 宇都宮市宝木本町の「訪問看護ステーション花みずき」の職員は、フェイスシールドやシャワーキャップを着用し、たんの吸引など感染リスクが高い処置を行っている。ガーゼや手袋などの衛生関連品は利用者側が用意する。だが、感染拡大で入手が困難となり、同事業所の備蓄品を利用せざるを得なかった。もともと備蓄量は少なく、物資不足に苦労したという。

 新規訪問でも課題があった。入院先の医療機関から自宅に戻る前に利用者の状態を共有する関係者会議を開くが、感染防止のため相次いで中止に。通常は訪問前に本人や家族と面会して今後の看護方針などを考えるが、相手と一度も会わないまま初訪問を迎えることもあった。

 所長の伊藤祥子(いとうさちこ)さん(44)は「直接会った方が状態をつかみやすく、適切なアドバイスもできる。しかし病院での面会すらできなかった」と振り返る。

 那須塩原市石林の「ヘルパーステーション茉莉花(まりか)」では、看護師によるヘルパーへの感染対策の指導を強化した。運営会社の社長で看護師の鈴木真知子(すずきまちこ)さん(65)は「ヘルパーの知識では不十分な場合があるため、事例に合わせて丁寧に指導している」と説明する。

 同ステーションでも物資は一時的に不足し、ごみ袋で防護エプロンを自作したこともあった。今後懸念されるのが、暑さによる訪問時の熱中症だ。

 感染の「第2波」が懸念される中、鈴木さんは「訪問介護中の雨がっぱやフェイスシールドの着用を続ける必要がある」と指摘。訪問は長いときで2時間に及ぶこともあるが、「水分補給を徹底するしかない」と頭を悩ませていた。