開店前にテーブルなどを念入りに消毒するキャバクラ店のスタッフ=29日午後7時10分、宇都宮市本町

 宇都宮市のキャバクラ店で、栃木県内初の新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が確認された。本県への緊急事態宣言の解除後、県内の接待を伴う飲食店は独自に感染対策をしながら、営業再開に踏み切ったばかり。「まだ客足が回復していないのに、さらに遠のいてしまう」「再び休業せざるを得なくなった」。関係者は落胆し、先行きに不安を募らせる。

 「感染が収まるまでは、慎重になってほしかった」。29日夜、飲食店が軒を連ねる宇都宮市の泉町通り。会社員男性(69)は渋い表情を見せた。感染が広がって以来、接待を伴う飲食店を控えているといい、「店にとっては大変でも、もう一度営業自粛が必要なのではないか」と危ぶんだ。

 同市本町のキャバクラ店「クラブ バーレスク」の責任者男性(55)は「余計お客さんが減ってしまう」と危機感をあらわに。今回のクラスターでは県外からの客から感染が確認された。「お客さんはどこから来るか分からない」と改めて感染への不安が募る。

 「お店や業界がどうなっちゃうのかな。生活がかかっている子もいる」。同店で働く女性(37)は、自身の感染リスクより客離れを心配する。感染の可能性が高い客には来店を控えてほしいが、「息抜きも必要。心配し過ぎず、店に来てほしい」と望んでいる。

 感染拡大前と比べ客が7割減った同店。客には入店時に手指消毒をしてもらい、客が帰る度にテーブルやソファなどをアルコール消毒している。一方で店の性質上、マスクやフェースシールドの着用や、距離を取った接客は難しいという。責任者男性は「補償が十分でないので営業するしかない。もっと補償があれば」と漏らした。

 同市内の別のキャバクラ店の関係者男性も「宇都宮(の夜の街)は感染者が出ていなかったのに。お客さんが街に近づいてくれなくなる」と悲鳴を上げる。

 本県の非常事態宣言が解除された後、予約客のみ受け入れる形で営業を再開していたが、今回のクラスターを受けて再び休業に入った。「まだ近辺の客足は十分回復せず、耐えきれずつぶれた店も多い。うちは7月から通常営業に戻すつもりだったが、考え直さざるを得なくなった」と天を仰いだ。