世界で今も感染が広がる新型コロナウイルスへの対応は、各国の個性を浮き彫りにしている。日本の特徴の一つは、安倍政権の目玉政策がマスク配布だったことを持ち出すまでもなく、マスクへのこだわりだろう▼機能性やファッション性を追求したマスクが、続々と登場している。小池百合子東京都知事、玉城デニー沖縄県知事ら政治家の自己アピールにとどまらず、西陣織や加賀友禅など、ご当地ものもある。暑さが増す今、「冷感マスク」なども人気のようだ▼諸外国でも有名ブランドが生産に乗り出している例はあるが、日本のように一般の人も含め、手作りや高機能マスクに熱を入れている国はない。コロナ禍の中でも、ものづくりのDNAは健在ということか▼ただ、細部にひと手間かけるのが好きなこの国民性が、必ずしもプラスに作用するとは限らないようだ▼書類に印鑑を押すため、出社を余儀なくされる、保健所などが感染者数をファクスで報告する-。手作業にこだわる性向が、緊急時に必要な合理性を阻んでいることが分かった。IT化の遅れは「習性のわな」のせいかもしれない▼細部にこだわり、感染防止に努めることも大事だが、今は第2波に備え、検査体制や医療システムなどを強化する方が重要だ。コロナ対策全体を俯瞰(ふかん)し「森を見る」べきだろう。