県境をまたぐ移動が解禁された直後の先週末、都内に住む知人家族に誘われ、那須町に出掛けた。一家は那須岳の美しい緑と爽やかな風に感動し「ここに住みたい」と名残を惜しんだ▼あながち社交辞令でもなさそうだ。外出自粛で通勤できなくなって約3カ月、家族全員で自宅マンションにこもり、相当ストレスがたまったらしい▼8月は北海道に長期滞在してテレワークを検討中とか。驚いたが、都心の耐えがたい暑さや通勤ラッシュを回避でき、自然も豊かだ。何より3密を気にせずにすむ▼新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、働き方が激変した。企業によっては、会社を辞めずに田舎で働くことも可能になった。本県以上に感染の危険性と背中合わせだった大都市圏の住民が、脱出したいと考えても不思議ではない▼需要を見込んで三重県は市町と共に、伊勢志摩など観光地で宿泊施設に滞在しながら働く「ワーケーション」の企業誘致に取り組む。足利市は、市内にサテライトオフィスを開設する企業などへの補助事業を始める▼どの地方も人口減に悩む中、新型コロナをきっかけとした新たな施策に知恵を絞る。治療薬やワクチンができるのはまだ先だが、生活様式の変容はすでに始まっている。移住・定住において好条件がそろう本県の発信が急がれる。先手必勝である。