「渡良瀬遊水池をラムサール条約登録地にする会」の事務局長として大久保寿夫市長(左)と懇談する浅野正富氏(右)=2012年7月

 自民、公明両党の推薦を得て安定した政治基盤の上に立つ現職の大久保寿夫(おおくぼとしお)氏(71)。その5期20年を振り返ると、最初の2回の選挙は自民分裂の激しい戦いだった。

 当時、衆院栃木4区の市内では佐藤勉(さとうつとむ)元総務相、山岡賢次(やまおかけんじ)元国家公安委員長が激しい議席争いを展開。山岡氏は新進、自由、民主、生活などの政党を渡り歩いた後、2013年に政界を去った。一方、自民の佐藤氏は党国会対策委員長などを歴任し、政治力を増した。

 大久保氏の支持層は当初、佐藤、山岡両陣営にまたがっていた。だが、佐藤氏を頂点に自民が一つにまとまり、大久保氏も佐藤氏に接近。3期目から自民は大久保氏で一本化した。

 大票田・小山の政治的な安定は、佐藤氏にとっても好都合だった。

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 対立候補となる弁護士の新人浅野正富(あさのまさとみ)氏(63)が批判する大久保氏のトップダウン型の市政運営も、この頃から定着してきたという。

 浅野氏はその手法を「独善的」などと厳しく批判。一方で「大久保氏でなくては成し得なかった」と、実力を認める事業もある。

 12年に渡良瀬遊水地が国際的な湿地保護条約のラムサール条約登録湿地になったこと、その象徴として特別天然記念物のコウノトリがすみ着いたことだ。

 浅野氏は以前から民間の立場で、渡良瀬遊水地のラムサール条約湿地登録に向けて熱心に活動。遊水地を囲む4市2町の中で大久保氏は最初に賛意を示した首長だった。

 渡良瀬遊水地は首都圏を守る重要な治水施設でもある。地元には登録に反対する声も根強くあった。その中で2人は、手を携えて成功を勝ち取った。

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 2人の対立が顕在化したのは昨年末。市施設の指定管理者選定を巡る問題だった。選定過程を「公正公平でない」とする浅野氏は「多選の弊害」と断じる。

 大久保氏は「独善、忖度(そんたく)、腐敗などは一切ない。継続は力なり」として、多選批判に真っ向から反論している。