一騎打ちが濃厚な大久保寿夫氏(右)と浅野正富氏

 28日告示、7月5日投開票の小山市長選は、現職の大久保寿夫(おおくぼとしお)市長(71)と新人で弁護士の浅野正富(あさのまさとみ)氏(63)の一騎打ちの公算が大きくなっている。5期20年を務め、県内の現職首長で最多の6選を目指す大久保氏に対し、多選の弊害を軸に訴える浅野氏の主張は、市民にどう響くか。市長選の構図と訴えの対立点を探った。

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 今月10日。空き店舗を改装したばかりの事務所で、大久保氏の最初の選対会議が開かれた。

 地元選出の佐藤勉(さとうつとむ)衆院議員をはじめ、推薦を決めた自民、公明両党の県議4人、そして定数30の小山市議会からは21人の市議が顔をそろえた。大久保氏にとっては圧倒的な勢力を誇示し、確認する場でもあった。

 選挙を取り仕切る選対本部長には自民党県連の政調会長、五十嵐清(いがらしきよし)県議が初めて就任。これまでは県議会の重鎮、板橋一好(いたばしかずよし)氏が連続して務めていたが、「若い人に前面に立ってもらいたい」と自ら譲った。

 安定した「巨艦」のようにも見える大久保陣営。ただ、不安要素もある。

 大久保氏をがっちりと支えてきた板橋氏の直系の市議からは、公然と大久保氏の6選に反対する声もある。五十嵐氏は県連政調会長として補正予算案審議中の県議会で多忙を極め、小山に張り付いていられないのが実情だ。

 もう一人の市選出の自民県議、白石資隆(しらいしとしたか)氏は今回の選挙から大久保選対入りした。だが、白石氏に近い関係者は「うちは大久保氏の支持者もいれば、反大久保派もいる。動きづらい」と漏らす。

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 「士気は高いが、素人集団。とにかく人手が足りない」。浅野陣営の関係者は、こう嘆く。

 選対委員長を浅野氏の盟友の市民活動家が務めるなど、長く取り組んだ市民運運で培った草の根のネットワークが強みだ。政党色を薄め、大久保氏に反発する自民支持層を取り込む戦略を描く。

 選対に関わる現職の政治家は無所属の中屋大(なかやだい)県議と2人の小山市議のみ。政党への支持は求めないが、旧民主党系の一部と、共産党が勝手連的に支援することになりそうだ。

 立憲民主党の衆院栃木4区候補予定者藤岡隆雄(ふじおかたかお)氏は、「個人の立場」で浅野氏支持を明言した。ただ、立民は唯一の小山市議が大久保氏の選対に入り、事実上の分裂選挙となる。

 圧倒的な知名度の差を埋めようにも、なお収束が見通せない新型コロナウイルス感染症が立ちはだかる。思うように動けないのも悩みどころになっている。