インターハイの開催中止が決まり、大会ポスターを外す小山市職員=27日、県南体育館

 東京五輪・パラリンピックと日程が重なったことで会場や宿泊施設の確保が難航し、異例の21府県での分散開催となった今夏のインターハイ。栃木県は水泳(水球)、バレーボール男子、ホッケーの開催地だった。

 県は2018年6月に実行委員会を設立。3競技の運営費約8500万円のうち、約6100万円を負担する方向で「3月までは淡々と準備を進めていた」(県担当者)。だが4月上旬、全国高体連からストップが掛かった。26日には史上初の開催中止が決定。新型コロナウイルスの猛威の前になすすべはなかった。

 ホッケーの開催地となっていた日光市。大会期間中は全国の男女48校の関係者ら延べ約3千人が詰め掛け、熱戦が繰り広げられるはずだった。一昨年優勝、昨年3位の今市男子は地元で王座奪還を狙っていた。「いつも以上に特別なインターハイになるはずだった」。桑原颯斗(くわばらはやと)主将は声を震わせた。

 宇都宮東の4年ぶり4度目の出場が決まっていた水球。競技担当教員の大浦朝美(おおうらあさみ)教諭(宇都宮南)らが「最高の舞台をつくりたい」と会場である県立温水プール館の整備に奔走してきたが、全て水泡に帰した。

 宇都宮市体育館と県南体育館で行われる予定だったバレーボール男子は昨年、県南体育館で関東大会を行い、本番のシミュレーションを済ませていた。競技担当教員の野村貴彬(のむらたかあき)教諭(大田原女)は「選手の活躍の場がなくなったことが悔しい」と嘆いた。

 水球の開催地である小山市実行委員会は「全国の高校生に、市の良さを知ってもらうチャンスだった」と残念がる。中止決定により、開催自治体への経済波及効果もなくなった。「小中学生が高校生のトップレベルに触れる機会もなくなった」(県担当者)。出場選手だけでなく関係者にも失望感が広がる。

 全国高体連は26日の記者会見で、部活動ができるようになった場合は3年生の最後の大会を都道府県単位で開催することなどを要望した。萩生田光一(はぎうだこういち)文部科学相も28日の記者会見で、代替大会となる“大臣杯”の開催を提案した。ただ、ウイルスの終息が前提で、大学受験などを備えて引退する3年生も多いだけにハードルは高い。

 ホッケーは冬にも全国大会があるが、桑原主将は「一番の憧れの舞台がインターハイ。応援してくれる人たちのためにも頑張らないといけないが、まだ切り替えられない」と本音を明かす。幻と消えた「最高の夏」。やり場のない思いを一人一人が抱えている。