国学院栃木が返還するはずだった柔道女子のインターハイ県予選優勝旗。服部監督も選手同様に無念さを募らせる=27日、同校

 「仕方がないですね」。電話口で気丈に振る舞ったが、そこから先の言葉は出なかった。

 宇都宮北バドミントン部男子の北川史翔(きたがわふみと)主将は26日夕、顧問教諭からの連絡でインターハイの開催中止決定を知った。3月の全国選抜大会に続いて無残に奪われた晴れ舞台。新型コロナウイルス感染拡大に終息の見通しが立たない中である程度の覚悟はしていたものの、突き付けられた現実を受け止めるのは簡単ではなかった。

 インターハイ県予選と県新人戦の男子団体で2連覇中と躍進著しい同校。北川は仲間と切磋琢磨し、着実に成長の階段を上ってきた。2年生だった昨夏のインターハイはシングルス3回戦まで進出。昨年末の関東選抜ではシングルス準優勝に輝いた。「全国で戦える自信がついた」。だからこそ、高校3年間の集大成の舞台に立てないことのショックは大きかった。

 中止決定を冷静に受け止める選手もいる。「インターハイで競泳人生が終わるわけではない」と語るのは宇都宮中央女子水泳部の高橋奈々(たかはしなな)。中学3年時に女子200メートル平泳ぎで日本一になった逸材は、高校1年時のインターハイで平泳ぎ100メートル、200メートル準優勝。昨年は両種目で3位に入り、全国トップレベルの実力を証明してきた。

 新型コロナウイルスの影響で所属するスイミングクラブが休業となっても、「水の中以外でも練習はできる」と別の方法でトレーニングを継続。「自分には次(大学)がある。そこで競技を続けていく」と早くも新たなステージを見据えた。

 一方、選手とともに夏を目指してきた指導者の悩みは深い。

 「自分の現役時代も含めて中止は初。子供たちにどう言葉を掛ければいいのか…」。国学院栃木柔道部女子の服部正幸(はっとりまさゆき)監督は同校に飾られた優勝旗を見つめ、言葉を詰まらせる。

 同校女子は昨年までのインターハイ県予選で団体10連覇中の絶対女王。昨夏のインターハイは最終的に準優勝した夙川(兵庫)に初戦で敗れたものの、全国のレベルを知った選手たちは1年後の雪辱を誓い猛練習。服部監督自身も教え子の成長に手応えを感じていただけに、中止決定による喪失感は大きかった。

 3年生の進路選択に大きな影響を与えるインターハイ。足利大付属レスリング部の石川利明(いしかわとしあき)監督は「われわれにできることは彼らの進路をしっかりと確保すること」と強調した。

 ひたむきに努力を重ねてきた選手をどう励まし、守り、次の一歩を踏み出させるか-。指導者に重い宿題が課せられている。