今年4月まで1年間の県内新規就農者は307人だった。前年より幾分か増えたが、2年前より50人も少ない。農業従事者の高齢化も進む。後継者確保は喫緊の課題だ▼地域社会に活力をもたらす若手を顕彰する小社主催の「とちぎ次世代の力大賞」。本年度の大賞、奨励賞に輝いた3者は、共通してベースに「農」がある▼大賞は、東京大農学部・大学院を経て就職した大企業を辞め、宇都宮市の阿部梨園入りした佐川友彦(さがわともひこ)さん(35)。企画や労務、販売などのオフィス部門を担当し、積み上げた経営改善実例は、全国の小規模農家の支えとなっている▼奨励賞の井上真梨子(いのうえまりこ)さん(38)は2年前、夫と共に那須町へ帰郷し広大な田んぼを引き継いだ。コメ菓子などを開発し業績を伸ばす。米こうじを使った発酵食品製造のアグクル(宇都宮市)は、代表の小泉泰英(こいずみやすひで)さん(23)が米作の将来を憂い創業したという▼農地集約や経営規模拡大が急む中、小規模な経営体で奮闘するのも共通点だ。佐川さんは「顧客と直に接触し深い関係になれる。働き方にも自由がある」。圧倒的に多い県内小規模農家にも、これから就農しようとする人にも励みになるだろう▼JA栃木中央会の農業求人サイトは、応募が相次いでいるという。受賞者にはぜひ、後に続く人たちの希望の星であり続けてほしい。