インターハイに出場したことはありませんが、自分が3年間目指してきた舞台がなくなってしまったと考えると、高校生にとっては受け入れることができない、つらいことだと思います。
僕は今年、新型コロナウイルスの感染拡大により、東京五輪という人生最大のイベントが延期となってしまいました。
最初は驚きましたし、昨年の世界選手権優勝の勢いで金メダルをとりたかっただけに、残念な気持ちもありました。しかし、さらに1年間トレーニングを積み、準備ができると切り替えられたことで目の前のトレーニングがすごく楽しく感じられています。
皆さんがこれまで積み重ねてきたことは体や心に刻まれていて、今後の人生で必ず役に立ちます。だからこそ、ここで気付いたことを生かしていくことが大切です。
今回、僕も国内外の大会に出るという当たり前のことができなくなったことで日常に対する考え方が変わりました。改めてクライミングの魅力を認識したり、新しいことにチャレンジするなど、できる範囲の中で楽しいことを見つけています。 一人一人考え方やモチベーションは違うと思いますが、インターハイの中止で「悔しい」「残念」と思うのは、その目標に真剣に向き合っていた証拠です。それを誇りに思い、これまで応援してくれていた家族や学校、部活の関係者に感謝を忘れず、次のステップを見据えていきましょう。
どんなにつらくても明日はやってきます。この悔しさや悲しみを乗り越えられるような楽しい挑戦を見つけ、強く、前を向いて生きていきましょう。
◆プロフィル 1996年、宇都宮市生まれ。作新中-宇都宮北高。TEAM au所属。2019年の世界選手権でボルダリングと複合の2冠に輝く。