修学旅行生などの利用が見込めず、休止する冨士屋観光センターの食事スペース=9日午後0時10分、日光市

静まりかえるホテル「花の季」の大広間。感染防止のため間隔を空けてテーブルを配置するなど受け入れ体制を整えている=10日正午、日光市湯元

修学旅行生などの利用が見込めず、休止する冨士屋観光センターの食事スペース=9日午後0時10分、日光市 静まりかえるホテル「花の季」の大広間。感染防止のため間隔を空けてテーブルを配置するなど受け入れ体制を整えている=10日正午、日光市湯元

 新型コロナウイルスの影響で首都圏の学校が栃木県日光市への修学旅行を中止・延期する動きが広がり、受け入れ先の宿泊施設や土産物店などは深刻な影響を受けている。感染状況によっては秋の修学旅行にも再び影響しかねず、不安の声が上がる。本来、子どもたちの楽しげな声が聞こえるはずの観光地は寂しい初夏となっている。

 10日、同市湯元のホテル「花の季」。4月以降、休業を続けており、館内は静まりかえったままだ。「聞こえてくるのは鳥の鳴き声だけ」。大類八重子(おおるいやえこ)支配人は残念そうに話す。

 同市内には例年、5月の連休明けから夏休み前まで、首都圏などから多くの修学旅行生が訪れる。宿泊者の半数以上が学生の同ホテルも、5~7月だけで修学旅行生約1万人が泊まるという。

 しかし、コロナの余波で今年5、6月の修学旅行の予約は全てキャンセルに。書き入れ時を逃した大類支配人は「修学旅行がメインなので経営の影響は大きい」とこぼす。秋に延期したいとの相談を受けるが、「すでに秋の修学旅行の予約が入っているので空きは少ない」という。

 今後の感染状況次第で秋の修学旅行の見送りなども危惧する。大類支配人は「修学旅行の役割は大きい。文化が途絶えてしまうことが一番心配」と訴えた。

 同市山内の世界遺産「日光の社寺」も活気があふれるはずだった。

 日光東照宮によると、昨年5~7月の修学旅行生は約12万人に上る。今年は拝観停止の措置を取ったこともあり、教諭らによる事前の下見すらない状況。稲葉尚正(いなばたかまさ)権宮司は「普段は境内が子どもたちでにぎやかな季節のはずだが、今年は静かで寂しい」と肩を落とした。

 飲食店や土産物店も影響は大きい。社寺にほど近い土産物・食事処「冨士屋観光センター」は、団体客が見込めず食事スペースを4月から休止している。伴博親(ばんひろちか)社長(84)は「現時点の修学旅行はゼロ。この先も見通せない」と話す。

 秋冬の予約は例年の半分程度入っているものの、「期待したいが、収束しない中で本当に来てくれるのだろうか」と不安は尽きない。