新型コロナウイルスの感染拡大による影響が、非正規労働者の暮らしを直撃している。県南在住の40代女性は、派遣社員として工場で勤務していたが契約が更新されず、他の派遣先も決まっていない。「使い捨てにされたように感じる。こちらも人間ということを分かってほしい」と切々と訴えている。
女性は登録型派遣として機械を製造する工場で働いていたが、2月末に発熱し、せきが止まらなくなった。感染症が全国的に拡大していた時期に重なり、症状が治まるまで休まざるを得なかった。
契約期間は3月末まで。派遣会社からは当初「引き続き働いてほしい」と言われ、改善後は職場に復帰した。しかし契約期間満了の約1週間前、突然「延長はしない」と告げられた。就業条件には、契約を解除する際は「少なくとも30日前には予告する」とされているが、連絡はなかったという。
派遣会社には別の仕事を探すよう依頼したが、担当者からは、新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言の影響で求人が減少し「仕事がない」と説明された。自ら派遣会社のサイトを通じて条件に合う仕事に応募したが、いずれも断られた。
これまでは一時的に仕事を失っても、すぐに次の職場が決まっていた。女性は「コロナがなかったら、こんなことにはならなかった」と肩を落とす。
女性は交際する50代男性と2人で暮らす。男性も派遣社員だったが、約1年前に肩のけがをきっかけに失職し、世帯収入が半減していたさなかだった。食費にも困るようになり、社会福祉協議会の「緊急小口資金」を利用。現在は生活保護を受給している。
離れて暮らす長男は、4月から建設業で働いている。特別定額給付金の10万円は、息子の仕事道具の購入費などに充てた。男性との結婚も考えていたが、現状では難しいと思う。
自らの離職票を見詰め、女性はつぶやいた。「仕事さえ続けていれば、状況は変わっていたのに…」
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