ギャンブル依存症時の特別定額給付金の使い道

 新型コロナウイルス対策で支給される10万円の特別定額給付金を巡り、ギャンブル依存症者の家族が悩みを深めている。世帯主が依存症の場合、家族の給付金もギャンブルで浪費してしまう恐れがあるからだ。「自分の手元には届かない」と諦めている栃木県内の家族も。識者は「必要な人の元へ渡る配慮や、依存症者と家族への支援が必要」と訴えている。

 県内の60代女性は、夫がギャンブル依存症。パチンコや競馬などで数百万円単位の借金を何度も繰り返してきた。

 特別給付金は、世帯主の夫の口座に振り込まれる。ギャンブルで浪費する不安があるが、夫は怒ると暴力を振るうこともあり、使い道の話し合いはできていない。女性は「口座にお金が入ると全て使ってしまうだろう」と肩を落とす。

 ギャンブル依存症から回復した宇都宮市、40代男性は「今も依存症なら、給付金は間違いなく全てギャンブルに使う」と断言する。

 男性は約10年前に依存症と診断された。スロットにのめり込み、仕事の傍ら毎日パチンコ店に通った。「やめたいと思っていても勝ったときの高揚感が忘れられず、翌朝にはまた店に行ってしまう」と振り返る。

 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京都、田中紀子(たなかのりこ)代表)は5月、同会が支援したギャンブル依存症経験者と依存症者の家族にアンケートを実施した。

 「依存症から回復前に地域のパチンコ店が自粛していたらどうしたか」という問いには、約200人中6割が「県境をまたいででもパチンコ店を探す」と回答。回復前に給付金を受け取ったと仮定した際の使い道を複数回答で尋ねると、47%が自分の分を、23%が家族の分も含めてギャンブルに使うと答えた。

 一方、世帯主が依存症の家族では約160人のうち2割が給付金の受け取りに不安やあきらめを感じていた。家族分を使わせないよう、別居や転居届を出した人もいた。

 田中代表は「パチンコ店に並ぶ人を批判するだけでは何も解決しない。依存症当事者や家族の支援を充実させるべきだ」と訴えた。