那須町商工会の高久さん。資金繰りの相談や事業計画作成の支援などに当たっている=5月下旬、那須町寺子丙

 新型コロナウイルスの感染拡大で地域の事業者が大打撃を受ける中、事業継続や資金繰りなどに向け、支援に奔走する人たちがいる。県内各地の商工会の経営指導員たちだ。客のいない観光地や昨年10月の台風19号の被災地で事業者からの相談を受け、補助金申請や事業計画づくりをサポートする。「元気なまちを取り戻したい」。地元の事業者に寄り添い、先の見えないコロナ禍を何とか乗り越えようと奮闘している。

 県商工会連合会によると、4月20日~5月22日に県内の35商工会に寄せられた新型コロナウイルス感染症に伴う経営相談は約6600件に上る。その最前線にいるのが経営指導員だ。

 本県を代表する観光地の那須町。外出自粛や休業要請などで大きな影響を受けている。同町商工会の経営指導員高久秀樹(たかくひでき)さん(47)には飲食、宿泊、建設業などの地元事業者から、電話や会員制交流サイト(SNS)で次々と相談が入る。

 「収入がないのに借金返済がある。どうしよう」。電話の向こう側から聞こえる切迫した声。高久さんは「寄り添うことしかできない。今こそ一緒に同じ方向を向き、支援するのが自分たちの務め」と力を込める。

 資金繰りの助言、持続化給付金などの相談、事業計画作成のサポート…。休日の時間も使いながら、一つ一つに応えている。

 例年にぎわう4、5月の町はかつてないほど閑散としショックを受けた。高久さんは「みんなで力を合わせて乗り越え、元気にお客を迎えたい」と願う。

 昨年10月の台風19号で甚大な被害が発生した鹿沼市の粟野地区。会員事業者の約3割が浸水などで被災した。そこに追い打ちを掛けたのが新型コロナだ。

 粟野商工会の岸野知泰(きしのともやす)指導課長(46)は「被災者の復旧が進み、やっと復興に向かう中で新型コロナの影響が出てきた。厳しい状況にある」と話す。台風被害に伴うグループ補助金の申請手続きはまだ継続中だ。

 台風直後は「もう辞めてしまおう」と落ち込む事業者もいたという。だからこそ今、国や県、市の補助金や給付金といった支援策の周知に力を入れる。

 人とのつながりが強く高齢者が多い地域だけに、対面する巡回訪問を控えるのがつらかったという。「会員さんに寄り添い、できることをやる。事業を続けてもらい地域が活性化すれば」。収束が見えない中、事業者との伴走が続く。