原料米の生産地を背に琉球泡盛「寒露の渡り」のボトルを持つ(左から)高徳さん、出島さん、関澤さん=24日午後、市貝町続谷

「寒露の渡り」のボトル

原料米の生産地を背に琉球泡盛「寒露の渡り」のボトルを持つ(左から)高徳さん、出島さん、関澤さん=24日午後、市貝町続谷 「寒露の渡り」のボトル

 里山の猛きん、サシバの繁殖地で、サシバを町づくりの核にする栃木県市貝町で作られたコメを使った琉球泡盛の醸造が進んでいる。昨春、同町内で開かれた初の「国際サシバサミット」を記念し、主催団体の一つ、日本自然保護協会が町の農家と渡りの中継地・沖縄県宮古島市の酒造会社を結び、製品化を企画した。今秋「寒露の渡り」の名で発売される。サシバの生息地同士が連携して環境保全に取り組む象徴的な商品として継続的に製造し、生息環境保全に役立てる。

 原料米の産地は、同町続谷(つづきや)にある谷津田30アール。ほぼ無農薬・無化学肥料で栽培し、昨秋収穫された「あさひの夢」を使った。秋に東南アジアへ渡るサシバが羽を休める中継地として重要な同市伊良部の「宮の華」で醸されている。南の海を思わせるラベルも完成し、熟成が進んでサシバが渡りをする時季の10月8日の「寒露」の日に出荷、販売が始まる。

 今月24日には日本自然保護協会の担当者らがサシバ生息地の中にある栽培地を訪れ、PRビデオを撮った。

 地権者高徳則夫(たかとくのりお)さん(62)や栽培を受託する続谷営農組合の関澤昭(せきざわあきら)さん(73)は、同所の耕作放棄地に水を張り、里山を整備して、ホタルが舞うサシバがすみやすい環境をつくる住民組織「続谷里づくりの会」主要メンバーでもある。

 高徳さんと関澤さんは「サシバが飛ぶこの場所で取れたコメが宮古島に届くのはうれしい。サシバが橋渡しして素晴らしいつながりができた」などと語った。

 「宮の華」工場長の山原作栄(やまはらさくえい)さん(40)は「思いがこもったコメのバトンを受け、酒にするすてきな縁ができた。果実香が華やかな酒になりそう」と喜び、秋の出荷に期待した。

 製品化を担当する日本自然保護協会生物多様性保全部長出島誠一(でじませいいち)さん(45)は「地域を守る思いの中でこの企画に賛同してくれたのがうれしい」と話した。

 720ミリリットル入りで2200円。1350本製造し、6月12日からネット予約を開始する。市貝町内の酒店でも販売する。サイトはhttp://kanronowatari.stores.jp/