新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休校していた県立学校の通常登校が6月1日から再開される見通しとなり、障害のある子どもたちが通う特別支援学校も準備に奔走している。県聾(ろう)学校は手話で動画を手作りし、再開までの学習や生活を支援。感染対策を強化するため、1日以降も分散登校を継続する学校もある。度重なる環境の変化でストレスを抱えぬよう、教員は心のケアにも力を入れる。
耳の不自由な生徒が通う聾学校。「5月はこいのぼりの季節です」。女性教諭が手話を使い、ビデオカメラに笑顔で語り掛けた。
同校は学校再開までの学習や生活支援を目的に動画27本を教員が手作りし、同校ホームページで生徒や保護者に公開している。手話や字幕付きで、リズム遊びや運動、新任教員の紹介など内容は多岐にわたる。
6月1日以降、教員は授業などで顔が見える透明なフェイスガードを着用する。口や表情の動きは、子どもたちが発話の内容を理解する上で重要な視覚情報だからだ。清水久樹(しみずひさき)教頭(54)は「学校生活に慣れるまで無理をさせず、1人1人のケアに注力したい」と強調した。
県内の特別支援学校で最多の児童生徒346人が通う富屋特別支援学校は、1日以降も分散登校を継続する。授業やスクールバスなどでの3密解消や、障害の実情に応じた支援を整え、11日から通常登校を再開する。
中田誠(なかだまこと)校長(57)は「給食や歯磨きなどは、直接手を携える手取り足取りの指導が欠かせない場合もある」と指摘。保護者らの不安を払拭(ふっしょく)するため、「最善の安全策を講じて学校を再開したい」と気を引き締めた。
また度重なる環境の変化で子どもたちがストレスを抱える恐れもあるが、中田校長は「変化への対応力を養う機会でもある。教員一丸となって支援したい」と力を込めた。
県立の特別支援学校は16校ある。県特別支援教育室の担当者は「各学校が工夫して安心安全の確保と学びの保障に努めている。障害の実情に応じた対応を徹底していきたい」と語った。