6月28日告示、7月5日投開票の小山市長選は、新人で弁護士の浅野正富(あさのまさとみ)氏(63)が名乗りを上げたことで、6選を目指す現職の大久保寿夫(おおくぼとしお)市長(71)と一騎打ちの公算が濃厚になった。告示日まで1カ月。浅野氏が立候補を決断した背景には「火中の栗」を拾わざるを得なかった事情がある。一方、大久保氏も多選批判と向き合わざるを得ない選挙になりそうだ。

 浅野氏はここ数カ月、現職の対立候補を擁立しようとしていたグループの中心にいた。当初、擁立しようとしたのは中央省庁の中堅官僚。地方自治体への出向経験もあり、本人も小山市長選に関心を寄せていたという。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が様相を一変させた。

 大規模な集会は開けない。支持者と握手もできない。「コロナ」の下での選挙は無名の新人に不利な選挙を強いる。「結局断られたのは5月の大型連休明け。決断を引っ張りすぎた」。旧民主党系の市議は悔やむ。

 その後、浅野氏らは自民党の五十嵐清(いがらしきよし)県議にも立候補を要請したが、断られている。自民党県連は5月8日に大久保氏の推薦を決定していた。浅野氏が自らの立候補の決意を周囲に伝えたのは20日。追い込まれた末の決断だったともいえる。

 その時の心境を浅野氏はこう語る。「今の市役所は『大久保帝国』。これからの4年間も大久保氏に任せるのは、市民にとってマイナスでしかない。6期24年は長すぎる」

 一方、大久保氏は「4年ごとに選挙の洗礼を受け、公約を掲げ実現してきた。多選批判しかないのは候補者として残念だ」と、浅野氏をけん制する。その上で「4年後の小山をどうしたいのか。私は政策で勝負する」と述べ、浅野氏を迎え撃つ覚悟を示した。

 ただ、大久保氏の足元にも多選への批判は忍び寄る。ある市議は、自民党県連の推薦決定を伝える際に大久保氏の面前で「私は個人的に反対だ」と、言い放った。同党関係者は「20年も市長やったのだから、もういいだろうという声があるのは事実」と、緩みを警戒する。

 共産党は独自に候補者選定を進めていたが、浅野氏の支援に回る方向で調整が進んでいる。公明党は間もなく県本部が大久保氏に推薦を出す。立憲民主党は態度を明らかにしていない。