雇用情勢は、緊急事態宣言の全面解除後、悪化が加速するとの見方が広がる。厚生労働省が把握しているだけでも、新型コロナウイルス関連の解雇や雇い止めは1万人を突破。5月は4月の3倍を上回り、日を追うごとに増加している。完全失業率がリーマン・ショック後の2009年の5・1%を上回る水準にまで悪化するとの懸念も出ている。

新規失業220万人試算も

 弁護士や労組でつくる「生存のためのコロナ対策ネットワーク」が21日に国会内で開いた集会では当事者からの悲痛な訴えが相次いだ。1カ月以上にわたる緊急事態宣言で観光や宿泊、飲食業を中心に雇用の場が消失した。「新型コロナを理由に一方的に解雇された」(ハイヤー運転手)、「4月に突然『仕事に来なくていい』と言われた」(ホテル清掃員)と訴えは深刻だ。

 労働関係者の間では派遣社員の大量の雇い止めが表面化する「5月危機」への懸念も高まる。四半期契約の派遣社員は6月末で更新のタイミングを迎える人が多く、1カ月前の5月末に雇い止めの通告を受ける可能性があるためだ。

 労働問題に詳しい指宿昭一(いぶすきしょういち)弁護士は「経済の落ち込みに対応するため、企業側は活動を再開するこのタイミングで解雇や雇い止めを本格化させるはずだ」と警戒する。

 最近では、世界的な需要の減少で自動車分野などの製造業も生産体制の見直しを進める。野村総合研究所の試算では、最悪の場合、20年の完全失業率は5・6%にまで悪化し、新規の失業者が220万人に達する見通しだ。

 梅屋真一郎(うめや・しんいちろう)制度戦略研究室長は「政府の雇用政策は後手後手に回ってきた。観光業など打撃の大きかった産業の需要を喚起するような支援が必要だ」と述べた。