営業再開に向け浴場を確認する元泉館の君島社長。再開を心待ちにしているファンがいるという=25日午後、那須塩原市湯本塩原

 北海道と首都圏の計5都道県への緊急事態宣言が25日、解除された。長引く外出自粛で打撃を受けた県内の観光、宿泊業界には、事業や営業再開への動きが出てきた。事業者には宣言の全面解除を歓迎する向きがあるものの、「そう簡単に客足は戻らない」と懸念は大きい。感染状況によっては再度の引き締めも十分あり得るだけに、忍耐の時期は当分続きそうだ。

 「お客さま(からの予約)の動きが見えてこないと正直、分からない」。4月21日から休業している塩原温泉の旅館「元泉館」(那須塩原市湯本塩原)の君島弘晃(きみしまひろあき)社長(54)は、慎重な見方のままだ。

 もともと県外、特に東京や埼玉、神奈川など首都圏からの宿泊客が全体の8割を占めていただけに、コロナ禍の打撃は大きかった。東京都が独自の外出自粛を要請した3月下旬以降、客足は「ぱたっと途絶えた」と振り返る。

 本県への緊急事態宣言解除などを踏まえ、6月1日から営業を再開する予定。宿泊客と日帰り入浴の客が集中して浴場が混雑しないよう、利用時間を変更するほか、日ごとの客室数を少なくするなどの感染対策を練っている。

 「再開はいつ?」と、たびたび問い合わせてくれた熱心なファンもいる。「いきなりV字回復はない。感染状況をにらみながら、慎重にかじ取りしていくしかない」と、自らに言い聞かせるように話した。

 バスツアーを中心とした旅行会社「関東ツアーサービス」(宇都宮市簗瀬4丁目)は全面解除を受け、中止していたツアー再開の検討を始めた。石原玲一(いしはられいいち)取締役(53)は「ここ2カ月は売り上げがほぼ無く、痛手だった」と語り、今後へ期待をにじませた。

 例年春休みは東京ディズニーランドへのバスが学生に人気だったが、同園の臨時休園によりツアーも中止に。感染拡大に伴い、それ以外のツアーも3月半ばから、ほぼ運行できない状態が続いていたという。

 5月末までは県をまたいだ移動の自粛が求められているため、6月以降、東北地方へのフルーツ狩りのほか、県内の観光地を回るツアーなどを考えている。ツアーバスの定員は通常40人だが、密集を避けるため、再開後は20人ほどを上限にする予定だ。

 一方で「まだ自粛ムードは続いている。再開してもお客さまが戻ってくるか多少不安はある」と懸念する。特に東京都は宣言の解除後、休業要請を段階的に緩和する方針を示していることなどもあり、「東京方面へのツアーには踏み切りにくい」と明かした。