通学路の歩道をふさぐように伸びた雑草を刈り払い、片付ける桧山さん夫婦

 栃木県立茂木高に今春入学した1年生の男子生徒の祖父母が、長い通学路の途中の道の草を約2キロにわたって刈り、男子生徒(15)は25日、きれいになった道を通って登校、初めての授業を受けた。額に汗して黙々と草を刈る老夫婦の姿に、沿道の住民は「今どきこんな奇特な方がいるとは」と驚いている。

 「『じいちゃん、ばあちゃんが元気なうちは3年間草刈ってやっから』って言ったんだ」。草刈りの手を休めて話す茂木町飯野、農業桧山文康(ひやまふみやす)さん(74)、和子(かずこ)さん(71)夫婦は、同居する長男の会社員敬明(たかあき)さん(46)の子ども3人のきょうだいがかわいくてしようがない。

 桧山家は7人家族。2番目の孫の男子生徒が茂木高に今春合格したのは家族の大きな喜びだ。新型コロナウイルスの影響でつらい休校が続いたが、やっと25日に初めて受ける授業があると聞いた。「じいちゃん、ばあちゃん」は通学路の伸び放題の草が気になって仕方がなかった。

 学校まで約7キロある。急勾配が続く茨城県境近くの国道123号を、男子生徒は仲の良い友人と2人自転車で通う。自宅を出てすぐから馬門(まかど)までの約2キロは特に人通りも少なく、自転車も走る歩道は雑草でふさがれた箇所もあった。夫婦は「草で足元がぬれたらかわいそう」と、23、24日の2日かけて草を刈り払い、片付けた。

 「孫のためという一心」と話す2人。作業は大変で、和子さんは初日の作業後「次の朝起きられるかなと思った」と苦笑した。「五十数年前、砂利道だったここを自分も自転車で茂木高に通った」と文康さん。同じ道を今度は孫が通う。

 「学校に通えずかわいそうなことをした。きれいになった道を見れば孫も何か感じるかも」と話す文康さんの横で、初日の作業を手伝った敬明さんは「他の人も通りやすくなってよかった」と穏やかに話した。