旧ICUを改装して整備した病床を案内する大竹副院長=20日午後、国際医療福祉大病院

 新型コロナウイルス感染者の栃木県内初確認から22日で3カ月。4月半ばから県の協力医療機関として患者を受け入れている国際医療福祉大病院(那須塩原市井口)の感染対策責任者、大竹孝明(おおたけたかあき)副院長が同日までに、下野新聞社の取材に応じた。同病院は疑似症者も含め県北在住の10人を治療。緊急性の低い手術や検査を延期するなど、院内感染を防ぎながら医療資源を集中して対応を続ける。大竹医師は「今後は通常診療も元に戻す両立を目指さないといけない」と指摘している。

 同病院は小児科の入院病棟を軽中等症の新型コロナ患者専用として整備。陽性者5人と疑似症者の計10人が入院し、現在までに全員が退院もしくは転院した。

 大竹医師は「新型コロナ患者はかなりの看護必要度」と強調する。患者1人を看護師1人が診る態勢で、集中治療室(ICU)での対応の2倍の人員を要する中、多い時は同時に5人が入院することもあった。防護服などは患者に接するたび新たに着脱。グループ医療機関からの物資調達のほか、「他の外来で節約するなどメリハリをつけてしのいだ」と振り返る。

 最も恐れたのは、近隣の指定医療機関で重症者の受け入れが許容を超える事態だ。旧ICUを改装し準備は整えたが「重症患者となると防護具の使用数も桁違い」と説明。より人、物を集中せざるを得なくなり、救急医療が成り立たない恐れもあった。実際に入院患者が急激に重症化したケースでは指定医療機関にスムーズにつなげられたといい、「時機を逸せず転院できる態勢を県が整備してくれた結果」と評価する。

 4月下旬には1時間半程度で結果が判明するPCR検査機を導入。発熱したスタッフがいれば自宅待機前に即検査し、陰性なら体調が回復次第復帰できる態勢を敷く。検査は、院内感染防止とスタッフの人員確保の意味で大きいという。

 新型コロナ患者対応を進める一方、一般診療への影響は避けられていない。緊急性の低い手術や検査などを延期や中止にした結果、外来患者は約2割減った。

 大竹医師は「新型コロナ患者を受け入れつつ、今後は他の診療を元に戻す態勢を試行錯誤しないといけない」と指摘。長丁場の対応を見据え「医療崩壊には経営的な意味も含まれる。財政的支援がないと持続しない」と訴える。

 家族への感染を防ぐため自宅に戻らず、隣接するホテルに宿泊して勤務を続ける看護師らも少なくない。大竹医師は「スタッフは皆、誰かがやらなければという使命感に支えられている」と話した。