30年以上前、会社で夜遅くに高校3年の運動部員からの電話を受けた。全国大会出場を決めた試合が載った新聞が欲しいという。推薦入学のため大学に提出する期限が迫っていたらしい。慌てて探し手渡した。彼の安心した表情は忘れない▼新型コロナウイルスの影響で全国高校総体は開催されず、全国高校野球も中止が検討される。国体や、サッカー、ラグビーなどの冬場の選手権大会はあるが、多くの3年生は成果を発揮する最後の機会を失った▼スポーツ系の推薦要件に全国大会などでの活躍を挙げる大学は多い。それが不可能になった生徒への配慮を求め文部科学省が先週、全国の大学などに通知した▼一部でスポーツ推薦がある宇都宮大は、当該生徒に不利益が生じないよう検討するという。一方、高校の顧問は、生徒の熱心な取り組みや素質などを、いかに推薦書や報告書で訴えられるか問われる▼とはいえ、やはり集大成の場は欲しい。時期を変えた全国大会、無理なら関東などの地区、県レベルでもいい。生徒が活動の証しを得られる大会を実現したい▼1年あれば大幅に上達する高校生。4年前、高校野球の頂点に立った作新学院高の今井達也(いまいたつや)投手のように、一つの大会で急成長した例もある。そうした勇姿を披露できないまま終わってしまうのは、あまりにむなしい。