パソコンを使ってオンライン診療をする村井院長=4月下旬、宇都宮市内

 新型コロナウイルスの感染拡大で、県内でもスマートフォンやパソコンなどを使って自宅で安全に診察を受けられるオンライン診療や電話診療が徐々に増えつつある。県によると、県内で実施する医療機関(歯科を除く)は15日現在で延べ138施設(一部重複あり)。ただ、スマホは慣れない高齢者にとって「操作の煩雑さ」、電話は「本人確認の難しさ」といった課題もあるようだ。

 厚生労働省は2月以降、感染防止に向けて電話や情報通信機器などによる診療のルールを弾力化している。4月には新型コロナ流行期間中に限り、オンライン診療と電話診療の初診も解禁した。

 オンライン診療は、専用アプリや無料通信アプリLINE(ライン)などのビデオ通話機能で診察を受ける仕組み。オンライン診療アプリ「クリニクス」を手掛ける「メドレー」(東京都)では、全国からの問い合わせが3月に通常の約8倍、利用患者も前月の2倍近くに急増した。県内では14医療機関が導入し、新型コロナの感染拡大以降、問い合わせも増えた。

 4月中旬にオンライン診療を始めた村井クリニック(宇都宮市)では、「新型コロナウイルスでは」と心配して利用した患者もいる。村井邦彦(むらいくにひこ)院長は「感染の疑いがある人が来院するとウイルスを持ち込むリスクが高まるが、患者は不安で診察してほしいという思いがある。オンライン診療は安全に診ることができ、結果的に地域医療などが守れる」と力を込めた。

 触診できず診察時間もかかるが、画面上の指示で症状や脈拍などを確認してもらえるため、やりとりしやすいという。しかし利用者は60歳代までで「操作に慣れない高齢者にはハードルが高い」と指摘する。

 電話診療による初診は顔が見えず症状を把握しにくいだけでなく、保険証を確認できないため、なりすましや診療代未払いの危惧がある。そこで富谷耳鼻咽喉科医院(足利市)は、対策を講じて同月末に電話初診を導入した。基本的に駐車場へ車で来てもらい、そこから電話で診察する。フェイスシールドや防護服を着た職員が患者の保険証を確認し、診療代も受け取る。

 富谷義徳(とみやよしのり)院長は「対面診療と比べ、イメージしながらの診察でやりにくい」と吐露したが、「感染が怖くて来院したくない患者の力になれれば」と導入の意義も強調した。