一騎打ちが濃厚な佐藤信氏(右)と石下友彦氏。2023年3月完成予定の市庁舎(上奥、予想図)の最初に“あるじ”となるのは誰か

 任期満了に伴う鹿沼市長選は17日告示、24日投開票で行われる。いずれも無所属で、4選を狙う現職の佐藤信(さとうしん)氏(73)と新人で元国会議員政策秘書の石下友彦(いしげともひこ)氏(47)=自民、公明推薦=の一騎打ちになるとみられる。新型コロナウイルスで選挙戦に影響も出ている短期決戦。市長選の構図と市の課題などを探った。

■「有志」の要請

 「やるなら今だ! 変えよう鹿沼」。自民党鹿沼支部は、3月下旬に石下氏が候補者に決まるとすぐさま市内に「おでん」と呼ばれるポスターを立てることに力を入れた。出遅れを取り戻し、名前、顔を覚えてもらうためで、キャッチコピーや支持市議らの写真も入れた。

 同支部にとって、4年前の市長選の雪辱、失地回復の戦いとなる。3月27日の同支部総会で石下氏は「多くの市議からも要請された。わずかの期間しかないが、誰かがやらなくてはいけない。鹿沼の方向を変えたい」と言い切った。

 前回市長選後、当時県議だった神谷幸伸(かみやゆきのぶ)氏から支部長を引き受けた小林幹夫(こばやしみきお)県議は、昨年9月の市議選で自民系候補10人全員を公認した。2011年、15年市議選はいずれも3人。市長選をにらみ、足並みをそろえるための「公認」と見る向きも多かった。

 誤算もあった。一定の距離を置く神谷氏系の複数市議は「昨年の台風19号の災害復旧、新型コロナ対策のため選挙をやる時期ではない」と話す。現職市長と政策協定を結び、「実」を取る考えも持っていた。

 候補者選びは難航し、石下氏への要請は「市議有志」でとなった。一枚岩となって選挙戦を戦えるかが焦点の一つともなっている。

■自負もにじむ

 台風19号の被災者支援、災害復旧に力を入れていた佐藤氏は対立候補がなかなか現れなかったこともあり、模様眺めだった。腰を上げたのが1月25日。自身の後援会会合で出席者から「佐藤市政の集大成を」と出馬を促され「態度を示す時期。皆さんの期待に応えたい」と決意を述べた。

 3月30日の政策発表を含めた出馬会見は「まず新型コロナ対策。そして将来にツケを残さない政策を展開したい」と自身の政治スタンスを改めて示した。

 これまでの選挙と違い、若い40代の候補者が相手。高齢、多選批判が出ることは承知している。しかし口にこそ出さないが、自分以外に適任者がいないのではという自負もにじむ。

 市長に近い市議をはじめ、後援会のメンバーも「ほかに市長にふさわしい人はいない。総仕上げをしてほしい」と話す。財政健全化をモットーとしてきただけに、市民からの「夢のある事業、施策がほしい」との声をどう反映するかが問われる。

 この4年間、新庁舎整備で建設場所の是非、総事業費60億円という枠で自民系市議と論争を重ねた。起工式も済み、23年3月の完成を見届けたいという佐藤氏の思いは強い。