新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、家で食事をする機会が増えた。立ち寄った宇都宮市内の百貨店の地下食料品売り場で、ある商品に懐かしい顔を見つけた。足利市出身で東京のイタリアンレストランのオーナーシェフ原田慎次(はらだしんじ)さん(50)だ▼テナントである北野エースが自社ブランドで作ったレトルトのパスタソースの外箱に、味の監修者として写真が載っていた。17年前、東京で活躍する本県人として取材したことがある▼当時33歳ながら、広尾にあったレストラン「アロマフレスカ」は「予約が取れない店」と話題だった。両毛の麺文化の中で育ち、麺好きが高じてイタリアンに進んだとも話していた▼今は銀座の一等地に店を移し、「ミシュランガイド東京」では一つ星を得るなど華々しい。第一人者となっても、電話の向こうの語り口は昔と変わらず気さくだった▼ソースは税込みで400円を超え、類似品に比べ少々高めだが「レトルトとしてはトップと思える出来」と胸を張る。コロナ禍で外食から遠ざかっている今、高級店の味わいを自宅で手軽に楽しむにはうってつけかもしれない▼人影が少なくなっている東京の中でも「銀座は特にひどい」という。原田さんも今月いっぱいの休業を決めるなど厳しい状況が続く。一日も早く終息し、再び腕を振るえることを願う。