客同士が対面しないような座席で営業を再開した飲食店=11日夜、宇都宮市江野町

 県の休業要請が多くの業種で緩和された11日、繁華街も少しだけ日常を取り戻した。飲食店では夜7時以降も酒類の提供が可能となり、酔客は久々の夜を楽しんだ。一方で通りは静かで、普段のにぎわいにはほど遠い。感染症対策を講じながら日常を送る「新しい生活様式」へ。模索の一歩を踏み出した宇都宮市中心部を同日夜、歩いた。

 約500メートルのアーケード下に飲食店がひしめくオリオン通り。この日の市内の最高気温は7月下旬並みの29・9度。冷えたビールがおいしい季節になっても、酔客の姿はまばらだった。

 周辺で飲食店を経営する遠藤悠一郎(えんどうゆういちろう)さん(38)は通りを眺め、「この客足だと飲食店の半分はつぶれる。店を開くも地獄、閉めるも地獄」。それでも休業要請の緩和を受けてか、「人出はゴールデンウイークよりはありそうだ」と語った。

 1カ月ぶりに営業を再開した江野町の和風居酒屋「いちげん」で仕事終わりの1杯を楽しんだ栃木市野中町、会社役員男性(65)は「家で飲む酒は寂しく、ノンアルコールのようだった」。店内は客との間隔を離すなど感染症対策を講じており、「電車通勤にも感染リスクはある。地域経済の活性化ために店で酒が飲めるのはありがたい」と歓迎した。

 午後7時。オリオン通りで洋装店を営む広瀬一郎(ひろせいちろう)さん(66)は店じまいをしながら「知人の店で、知っている人と少人数で飲めば感染リスクは最小限に抑えられるのでは」と語り、近所のなじみの店へ向かった。

 県庁と市役所を結ぶシンボルロードで飲食店を営む男性(60)は店内の感染症対策に頭を悩ませる。「酔えば近くに寄って大声で話したくなるし、飛沫(ひまつ)も飛ぶ。どこまで対策すれば」

 酒類の提供が可能になった午後7時を過ぎても、繁華街・泉町は明かりが消えた店が目立った。11日から店内飲食を再開した和食店「力造」の城戸力(きどつとむ)さん(62)は「客足が戻るにはほど遠い」と声を落とした。

 夜の街には、緩和への歓迎と先行きの見えない不安が交錯していた。