営業再開に向けた準備が進む宇都宮ヒカリ座=8日午後2時45分、宇都宮市江野町

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした県の休業要請が11日から多くの業種で解除されるのを前に、緩和対象となった県内の映画館や動物園、ボウリング場など地域の身近な施設は8日、営業再開に向けた準備を本格化させた。関係者は再開の見通しを喜ぶ一方、「客足は元に戻るのか」「感染者が出てしまったら…」との不安も抱える。

 がらんと静かな映画館。「使用中止」と印刷されたA4紙をテープで座席に貼り付けていく。「左右を空けるだけでなく、前後の列を全て空席にして、客が密接しないようにしたい」。8日午後、宇都宮市江野町の映画館「宇都宮ヒカリ座」で、三井覚(みついさとる)支配人(52)は、営業再開の準備を進めながら力を込めた。

 3月の客足は前年の9割減。県の営業自粛要請を受けて、4月18日から臨時休業をしている。2011年の東日本大震災時も映画の灯を守り続けていただけに、休業は断腸の思いだったという。

 営業再開を予定する11日以降は座席や設備の消毒を徹底する方針。外から光や音が漏れないように注意し、上映中の換気も検討している。「静かにスクリーンを向いて作品を鑑賞する。飛沫(ひまつ)が飛ぶリスクは少ない」とみる。

 一方で不特定多数の客が足を運ぶことには、変わりがない。県内の映画館でつくる県興行生活衛生同業組合の事務局長も務める三井支配人は「対策は徹底するが、同業者は多かれ少なかれ不安を抱えているはず」と吐露した。

 同市上金井町の宇都宮動物園は入園券販売所の前で来場者が密集しないよう、職員が地面にテープを2メートルごとに貼っていた。本来年中無休だが、20日と27日を園内の消毒のため休園とするほか、営業時間短縮や人が集まるイベントをやめるなど、手探りの営業が続く。

 それでも、3月から来園者数が例年の10分の1に落ち込み、休園した4月20日からゼロだった苦しさを思えば、再開できる喜びは大きい。荒井賢治(あらいけんじ)園長(56)は「動物のことを大好きな子どもたちが喜ぶ声を、早く聞きたい」。園舎の一斉清掃などをして、再開日の11日に備える。

 県内のボウリング場も、複数の施設が11日から営業を再開する。約1カ月間休業していた那須塩原市若葉町の「黒磯ボウル」は、使用するレーンの数を半分に減らして間隔を確保、ボールの指穴のこまめな消毒、従業員の検温といった対策を取る。松本知泰(まつもとともやす)支配人(35)は「新型コロナ自体が終息したわけではなく、迷いや不安もあるが、対策を取りながら慎重に営業していきたい」と話した。