新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために県から出されていた休業要請が、11日から多くの業種で緩和される。感染防止策を徹底すれば観光ホテルや旅館も営業を再開できるが、本県を代表する日光や那須塩原などの温泉地では対応が分かれている。厳しい経営状況に直面する中、再開を決めた宿もある一方、緊急事態宣言期間の今月末まで休業を継続する宿もある。「感染者を出したくない」という思いは共通で、営業再開も「恐る恐る」だ。

 那須塩原市の塩原温泉旅館協同組合は7日、会議を開き、自主的に「各施設に31日までの休業をお願いする」ことを決定、加盟49施設に通知した。だが既に7日に再開した施設も数カ所あり、田中三郎(たなかさぶろう)理事長は「感染拡大防止が一番だが、再開はあくまで宿ごとの判断。規模や経営状況など温度差はある」と話す。

 同市内の板室温泉旅館組合は、加盟10施設のうち6施設が11日に再開する見通し。室井孝幸(むろいたかゆき)組合長が営む板室の「勝風館」は「非接触型の体温計がまだ手に入らない」ため16日まで休業を続ける。「経営を考えれば早く営業を再開したいが、従業員の安全を考えればそうもいかない。恐る恐るの再開です」

 那須温泉旅館協同組合も感染拡大防止対策を講じた上で各施設の判断とした。

 那須町湯本の「山水閣」は県内客を対象に21日に再開する。「安全のため当初期限の6日から2週間後まで自粛する」と片岡孝夫(かたおかたかお)社長。再開後は全14部屋の半数の稼働にとどめ、客のチェックアウト後に1日かけて部屋の衛生環境を整える。「注意深く再開したい」と話す。

 日光市でも7日、一部の宿が営業を再開したが、鬼怒川温泉街では今月末まで休業する宿が少なくない。同市内など県内で8施設を展開する「おおるり」グループもその一つ。都心部周辺からの観光客が多いため、総支配人の石井俊弘(いしいとしひろ)さん(67)は「再開すれば県外のお客さまからの予約は入ってくる。県境をまたぐ移動になるので無理に開けない」と語る。

 同市鬼怒川温泉大原の「鬼怒川グランドホテル夢の季(とき)」も営業再開は6月以降を予定する。休業中は、再開後の受け入れ態勢や新商品の準備、対策に力を入れる。波木恵美(なみきえみ)社長は「3密を避けるなど今までとは違った対応が必要で、新たなスタイルを確立する時間に使いたい」と話した。