取材に応じる感染症指定医療機関の男性医師(右)と女性看護師=7日、県内

 新型コロナウイルスに対応する栃木県内の感染症指定医療機関が、深刻な医療物資不足に陥っている。同医療機関の一つに勤める医師と看護師が7日、下野新聞社の取材に応じ、マスクの使用枚数を制限したり、雨がっぱで医療用ガウンを代用したりするなど、厳しい実情を証言した。院内感染のニュースを見ると、「明日はわが身だと思ってしまう」。終息が見通せない中で、苦しい対応が続く。

 取材に応じたのは、40代の男性医師と30代女性看護師。いずれも医療現場で、陽性患者の治療やPCR検査の検体採取などに携わっている。

 陽性患者や感染の疑いがある患者には、マスクにガウンなど防護品を身に着けて対応する。2人が勤務する病院では、2~3月ごろから発注した物資が届きづらくなった。感染患者の受け入れや検査が始まると、マスクなどの使用量も増加し、物資不足が目立つようになった。

 「1度外したら捨てるのが基本」のマスクは、使用枚数を1人につき週2枚までとして、滅菌し再利用する。医療用ガウンは、オフィス用品の通販会社から雨がっぱを仕入れて代用した。飛沫(ひまつ)を防ぐフェイスシールドは、クリアファイルで自作している。

 感染が疑わしい患者と接した際には、装備品を廃棄するのが理想だ。しかし定期的な物資の補充がない現状では、陽性患者と接するといった明らかな汚染がない限り、滅菌処理して再利用するなど、在庫に応じて対応を変えざるを得ないという。

 医師は「陽性患者のゾーンは、完全に分離できている。しかし物資の状況次第では、安全の担保が十分にできない段階が生じる恐れがある」と警鐘を鳴らす。

 行政などからはマスクが届いている。しかし多いときで週1万枚ほども消費するため理想の枚数には及ばず、中には医療用としては適さないものもあった。従来の仕入れルート以外からの調達も模索しているが、質が担保されているか懸念もあり簡単ではない。

 医師は「陽性でも感染疑いの患者でも、感染防護のために取る対応は同じ。感染者数が減ったから医療物資は足りているはずだ、という認識は間違っている」と指摘する。

 装備面の不足は、医療スタッフの不安にもつながっている。女性看護師は「子どもにうつすのではないかと心配するスタッフもいる。いつ終息するか分からない長丁場で、心身への負担は大きい」と訴えた。