半世紀以上前の小学校の給食にはあまりいいイメージがない。ぼそぼそのコッペパンと少しばかりのおかずが付いていた。世の中全体が貧しい時代だったから、食べられるだけでもよしとしなければならなかった▼今どきの子どもたちは幸せである。宇都宮市の献立例を見るとハンバーグにエビカツサンド、ハヤシライス…。サラリーマンの昼食が貧相に思えるくらいバラエティーに富んでいる▼その時々の時代を反映する給食メニューだが、当時も今も共通するのは牛乳の存在だ。良質のタンパク質をはじめ文字通り滋味に富んだ栄養食品は、子どもたちの体と健康づくりに大きく貢献してきた▼その牛乳を生産する酪農家に暗い影が忍び寄っている。コロナ禍で学校が休みとなり、給食向けの出荷が大きく落ち込んでいるからだ。全国の生産量の半分以上を占める北海道でより深刻な影響が出始めている▼県農政部によれば、全国2位の生産量を誇る本県でも休校がさらに長引けば影響は避けられないのでは、という。福田富一(ふくだとみかず)知事は先日の全国知事会議で、苦境にあえぐ牛肉と花卉(かき)に加え、牛乳の消費拡大を訴えた▼牛乳に含まれるカルシウムはストレス解消にも効能があるとされている。巣ごもりのイライラを牛乳で流し去り、併せて酪農とちぎを守る取り組みはまさに一石二鳥か。