宇都宮市でITベンチャー企業「ぶらんこ」を経営する永井洋志(ながいひろし)さん(46)は4年前、市内の農業法人からイチゴハウスの温度や二酸化炭素の濃度などを計測する、スマートフォンのアプリ開発を頼まれた▼完成後、今度はコメ作りでの応用を市から相談され、農家との意見交換で田んぼの水管理に注目した。特に大規模農家は、離れた場所にある複数の水田で耕作するため、全ての水回りを管理するだけでも多くの時間がかかる▼労力は、水稲の総労働時間の3割にもなる。そこで開発したのが「水位センサー」である。スマホと連動し、リアルタイムで田んぼの水位を表示する。簡単に設置でき、安価なのが売りだ▼どこにいても現地の様子が分かる農業の見える化で、労力が大幅に削減できた。「他の農家から請け負える田んぼが増えた」「楽になった」と好評という▼この3年間は年に100台程度の販売だったが、今年は4千台に達する見通し。大手農機具メーカーと代理店契約をしたほか、全国各地の農協から問い合わせがあり、先日は岩手県での取り扱いが決まった▼ITを活用したスマート農業を先取りした永井さんは施設園芸、水稲栽培に続いて露地栽培での挑戦も考えている。海外からも引き合いが来た。宇都宮発の技術が農業をどう変えていくのか、興味が尽きない。